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2025.02.21
もう止まらない、ルイ・ヴィトンの腕時計
LVMH ウォッチウィーク2025の新作
LVMHグループには現在、高級機械式時計を展開するブランドとして、ブルガリ、ウブロ、ゼニス、タグ・ホイヤーなどがあるが、中でもいま最も勢いがあるのが、グループ盟主のルイ・ヴィトンの腕時計だろう。それは1月に開催されたウォッチウィークで発表した新作を見ても、明らかである。

「タンブール オトマティック コンバージェンス ピンクゴールド」。W9PG11。自動巻き。径37㎜。18KPGケース。カーフレザーストラップ。504万9000円。
ルイ・ヴィトンが新たに打ち立てた「タンブール コンバージェンス」コレクションからの1本は、同メゾンの時計製作のセンスの高さが強く感じられる。ダイアルにあるのは、12時位置に大きく開口されたデジタル表示のみ。小さな窓ではなく、表示する前後の時間帯も読み取れる大きな窓というのがポイント(この窓の形状は、ヴィトン家の邸宅内装に見られるアラベスク模様から着想しているという)。時刻表示はジャンピング式で行うのではなく、大小2つの回転ディスクが、ゆっくりと回転しながら行う。外側が「時」、内側が「分」。これは、ルイ・ヴィトン初となる「ラ・ファブリク・デュ・タン ルイ・ヴィトン」ですべてを製作した自動巻きムーブメントである。小振りな37㎜ケースは、厚さ8㎜というスリムな薄型も実現。美しくカーブするラグは大胆に肉抜きされており、新しいタンブールの時代を予感させる内容だ。

「タンブール タイコ スピン・タイム エアーフライング トゥールビヨン」。W9WG11。自動巻き。径42.5㎜。18KWGケース。カーフレザーストラップ。2783万円(参考価格)。
ルイ・ヴィトンがハイエンドウォッチを製作するきっかけとなった「スピン・タイム」。2009年に誕生した独自機構が更なる進化を遂げた。スタンダードなモデルからワールドタイムを組み合わせたものまで、全部で6種の新作がリリースされたが、中でも注目はダイアルのセンターにフライング・トゥールビヨンを組み合わせたモデルだろう。「スピン・タイム」は、ダイアルにある12個のキューブのうち2つのキューブが同時に回転して「時」を表示する。つまり一つだけ色の違うキューブの数字が「時」。分針は通常、センター運針で行うが、こちらのモデルはセンターにトゥールビヨンがあるため、外周の回転ディスクにセットされた短い針が「分」。写真の状態は10時10分を示している。キューブも、そしてモノグラムフラワーのトゥールビヨンも「浮いている」かのような自社製ムーブメントは、新設計の「キャリバーLFT ST05.01」。この新作のモデル名は、和太鼓にちなんで「タンブール タイコ スピン・タイム エアーフライング トゥールビヨン」と名付けられたが、そのケースは新しい形状のラグを組み合わせるなど、さらに美しいフォルムに進化している。

「エクストラ プラット スースクリプション」。DBBE01A1。手巻き。縦38.6㎜、横35.5㎜。18KYGケース。カーフレザーストラップ。世界限定20本。価格要問い合わせ。
「ラ・ファブリク・デュ・タン ルイ・ヴィトン」で開発、製造される「ダニエル・ロート」ブランドから、待望の第二弾が登場。第一弾のトゥールビヨンに続くのは、薄型の手巻きモデルだ。これはダニエル・ロート本人が1989年に「トゥールビヨンC187」を発表してブランドを立ち上げ、翌年1990年に「エクストラ プラット」を完成させた歴史とも重なる。「ラ・ファブリク・デュ・タン」の創業者であるミシェル・ナバスとエンリコ・バルバシーニは、ダニエル・ロートとは旧知の仲であり、この新作に関しても「彼の哲学とスタイルを忠実に守りたかった」と語っている。実際、ケースサイズは当時と同じ縦38.6㎜、横35.5㎜で、ケース厚だけが7.7㎜とさらに薄く仕上がっている。これは新たに開発された手巻きムーブメント「DR002(厚さ3.1㎜)」によって実現されたものだが、パワーリザーブが70時間にアップしている点にも注目したい。また文字盤のギョーシェ彫は全て、手作業。ベース部分のクル・ド・パリ模様は1935年頃の、チャプターリングなどのフィレ ソテ模様は1850年頃のマシンを使っている。

「ジェンティッシマ ウルサン」。自動巻き。径36.5㎜。18KYGケース。アリゲーターストラップ。価格要問い合わせ。
「ジェラルド・ジェンタ」ブランドからもエネルギッシュな新作が登場。「ジェンティッシマ ウルサン」コレクションの4作目がお披露目となった。「ウルサン」とはフランス語で「ウニ」。1994年、バカンスで訪れたコルシカ島で、その神秘的な姿に魅了されたジェンタはその場でスケッチを書き下ろした。オリジナルがウニの棘(とげ)をビーズで表現したのに対し、こちらの新作が採用したのはファイアーオパール。そのファイアーオパールはなんと、18Kイエローゴールドのケースに一つ一つネジ止めされている。本作を手がけたアーティスティック・ディレクターのマチュー・エジは、「このクリエーションを通じて、『ジェンティッシマ ウルサン』の クリエイティブコンセプトの境界を押し広げ、稀少な宝石をまとったアイテム提供すると共に、有機的な色や美しい宝石、そして美に対する ジェンタ氏の情熱に敬意を表した」と語っている。
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文・構成/市塚忠義