2025.10.17

ウブロとダニエル・アーシャムのコラボ第二弾

もしも時計のダイアルが“スプラッシュ”したら……

「MP-17 メカ-10 アーシャム スプラッシュ チタニウム サファイア」。917.NJ.6909.RX。手巻き(HUB1205 マニュファクチュール)。ケース径42㎜。ケース厚15.35㎜。チタニウムケース。ラバーストラップ。5気圧防水。世界限定99本(日本国内は直営ブティック限定、伊勢丹新宿店先行発売)。904万2000円。

ウブロの多彩な表現力、そしてその感性を形にする技術力の高さは、「時計」という枠を超えて、多くのアーティストや表現者に刺激を与えている。その証拠となるかはわからないが、ウブロほど他業種とのコラボレーションを実現している時計ブランドはない。

ここに紹介するウブロの新作は、ニューヨークを拠点に活躍するアメリカ人アーティスト、ダニエル・アーシャムと共同制作した時計。造形作家である彼の作品は、過去・現在・未来を交差させながら、時代にとらわれない流動的なフォルムが特徴だ。

ウブロとダニエル・アーシャムのコラボは、これが2作目。一作目「MP-16 アーシャム ドロップレット」でダニエル・アーシャムがヒントとしたのは「水」の動きであった。懐中時計、ペンダント、テーブルクロックとして3通りの使い方ができる時計は、水滴のような有機的なケースフォルムで独自の世界を表現。

二作目「MP-17 メカ-10 アーシャム スプラッシュ チタニウム サファイア」では、その水の表現力がさらに進化している。一番の見どころはスプラッシュしたダイアル。規則正しい時計(針)の動きに対して、水しぶきで偶然できたような変則的な開口部に、ダニエル・アーシャムの強いメッセージが感じられる。

このスプラッシュ型のダイアルを際立たせているのが、通常の時計であれば「ベゼル」に該当する半透明のパーツ。これはサファイアクリスタルをフロスト加工したもので、流れる水からインスピレーションを受けているという。

ダニエル・アーシャムは、「ウブロとのコラボレーションでは、完璧な幾何学的形状を持つ水滴からインスパイアされたケースを用いて、時間の流動性を追求しました。ウブロの「メカ-10」ムーブメントを搭載したこの時計は、まるで宙に浮かんでいるかのような、水そのものの透明感と、絶え間なく変化し続ける動きを表現しています。」とコメントしている。

このユニークな形状の時計を見て、初見で「ウブロ」と言い当てられる人は少ないだろう。しかしディテールをよく見れば、6つのH型ビスやケースの両サイドに端出した特徴的なラグ、そしてH型フォールディングクラスプなど、ウブロ“らしさ”は、実に巧みに取り入れられている。

サファイアクリスタルとチタニウムからなるケースに、アーシャムモノグラム装飾を施したブラックラバーストラップを組み合わせた時計は、ウブロのブランドコンセプトである「アート・オブ・フュージョン(異なる素材やアイデアの融合)」も見事に体現している。

「MP-17 メカ-10 アーシャム スプラッシュ チタニウム サファイア」は、その強烈なインパクトから大きく見えるかもしれないが、実はケース径42㎜とコンパクト。この控えめなエレガントさは、小型の傑作手巻きムーブメント「メカ-10」を搭載することで実現した。

時代に流されることのない美しいフォルム、どの時計にも似ていない個性、パワーリザーブ約10日間というスタミナ、そして世界限定99本という希少性。この時計を所有できる満足感は、計り知れない。

問い合わせ/ウブロ公式サイト

文/市塚忠義