2018.05.18

A.ランゲ&ゾーネの異次元のメカニズム【博士と助手の新作時計 2018 ガチンコ対決!】

ドイツの至宝は、入念な作り込みと独創的な機構でクロノを革新。
2つの新作クロノは、異なるアプローチでメカニズムの真髄を示す。

博士「ウォルター氏に捧げる新作」

1815 〝ウォルター・ランゲへのオマージュ〞
アーチ状の2 本アームの爪石が1秒刻みで30歯の歯車を順に送る。コンスタントフォースに似たメカによりセンターセコンドは1秒刻みでステップ運針する。限定27本。手巻き。径40.5㎜。18KYGケース。アリゲーターストラップ。予価534万円。9月以降発売予定。

スタート・ストップはコラムホイールが制御。テンプの上の歯車には、ステップ運針させる2本のアームによるメカが重なる。

助手「合計6本のクロノ針装備」

トリプルスプリット
2004年の分積算計に続き、追加した時積算計までスプリット化。2つのラップタイムが12時間まで計測可能になった。3つの積算計の針が分かれる様は圧巻。限定100本。手巻き。径43.2㎜。18KWGケース。アリゲーターストラップ。参考予価13万9000ユーロ(ドイツ国内VAT含む)。9月以降発売予定。

作り込んだムーブは見ごたえ十分。ケースはダブルスプリットと同径で厚みは0.3㎜増。スプリット式12時間積算計を追加。

ユニークにして複雑なメカニズムで鎬を削る

助手 今年のAランゲ&ゾーネは、クロノグラフの新作が豊富でした。

博士 この「1815〝ウォルター・ランゲへのオマージュ〟」も、広義でのクロノグラフ搭載機と言えるだろう。その名の通り、昨年のSIHH期間中に急逝されたウォルター・ランゲ氏にオマージュを捧げる限定モデルで、2本ある秒針の内、センター側を任意でスタート・ストップさせられる機構を持つ。リセット機構を必要としないクロノグラフというのが、なかなかにユニークで俄然、興味をそそる。

助手 対して私が推す「トリプルスプリット」は、正真正銘のクロノグラフの超大作です。ランゲには、秒と分の各積算計が2本の針を持つ「ダブルスプリット」がありましたが、この新作では12時間積算計が追加され、それも針が2本。つまり秒・分・時のすべてにスプリット機能が備わっているんです。しかもフライバック機構付き。まさに驚異的なメカニズムです。

博士 こっちのメカも負けていない。センターの秒針は、ジャンピングセコンドなのだから。この機構は創業者の発明をルーツとし、ランゲの歴史も伝えてくれる。

商品の問い合わせ/A.ランゲ&ゾーネ Tel.03-4461-8080

[時計Begin 2018 SPRINGの記事を再構成]
写真/岸田克法 文/髙木教雄 構成/市塚忠義