2019.04.06

【ロングセラー変遷記】歴代ジェームズ・ボンドが愛用する「オメガ シーマスター ダイバー300M」

名作ロングセラーモデルの成り立ちと歴史、そして変遷を辿るこのシリーズ。今回は、オメガ伝統の潜水用時計の系譜を継ぐプロダイバーズを取り上げる。

Original model オリジナルモデル

当初からハイスペックでプロ用の本格装備を網羅
1993年登場の「シーマスター プロフェッショナル 300」。300m防水をはじめ、逆回転防止ベゼル、ヘリウムエスケープバルブを搭載したプロ仕様ダイバーズだった。また、デザイン的にはネイビーブルーの文字盤とベゼルが特徴に。’95年から4 作にわたり映画「007」シリーズにも採用。

 

J・ボンドをオマージュ
映画「007」シリーズの公開40周年を記念して、限定10007本で発売された「ジェームズ・ボンド 40周年記念モデル」。文字盤に複数の007ロゴを施し、ケースバックにはロゴとシリアルナンバーも。さらに007仕様のスペシャルボックス入りにて提供された。

随所に007の特別デザイン
デザインはオリジナルを踏襲しつつ、文字盤に007ロゴのモノグラムに加え、アプライドされた007ロゴを配した。また、裏蓋にはロゴのほか、シリアルと〝40 YEARS OF JAMESBOND LIMITED SERIES〞の文字を刻印。

 

初のコーアクシャル
「シーマスター プロフェッショナル 300」から「シーマスター ダイバー 300M」へと名称を変更。また、内部の自動巻きムーブメントがコーアクシャルとなって、パフォーマンスがいちだんとアップした。同年、このタイプのボンド限定モデルも登場している。

クロノメーター仕様へ進化
新たにコーアクシャルエスケープメントを擁した自動巻きCal.2500を搭載。またダイヤルの〝OMEGA〞の下に赤文字で〝Seamaster〞と表記されるようになった。日付表示右側の小さなインデックスはなくなる。

 

25年の間愛され続けるプロフェッショナルな姿

オメガの歴史において評価の高いダイバーズウォッチとして、1957年の「シーマスター 300」や1970年の「プロプロフ」が挙げられる。これらの高い技術を受け継ぎ、1993年に誕生したのが「シーマスター プロフェッショナル 300」である。プロの潜水に対応する300m防水の本作が、従来の自社製品と違うのは、10時位置にヘリウムエスケープバルブを備えること。これは高圧の深海で作業するダイバーたちにとって、真のプロ仕様といえる特殊装備だった。

また、本作の名を高めたもうひとつの要因が、人気映画「007」シリーズの劇中で主人公ジェームズ・ボンドが着用したことにある。初代モデルは’ 95年の『ゴールデンアイ』から2002年の『ダイ・アナザーデイ』まで4度にわたり採用されており、さらには’02年の「ジェームズ・ボンド40周年記念モデル」’08年の「ジェームズ・ボンド007 コレクターズピース」をはじめ、時計の随所に007のロゴを取り入れたモデルも数多く発表されている。

時計の機構およびデザインの変遷としては、’06年にオメガの象徴ともなるコーアクシャルキャリバー搭載モデルが登場し、’11年にはベゼルの素材が先進的なセラミックに。そして、今年発表された最新作では、より高性能な「マスター クロノメーター」キャリバーを搭載したのみならず、文字盤もセラミック製にして初代の波型装飾を復活させた。一方、ヘリウムエスケープバルブ装備で300m防水はそのまま。爽やかなブルーをまとったハイスペックな姿は25年経ても変わらないのだ。

 

精悍なブラックモデル
オメガ「007」シリーズの双方のファンに向けて製作された「ジェームズ・ボンド 007 コレクターズピース」。こちらも限定10007本のリミテッドエディションで、ベゼルや文字盤に精悍なブラックカラーを採用。やはりスペシャルボックス入りで提供されている。

コントラスト際立つ黒×白
ホワイトスーパールミノバを施したブラックの文字盤&ベゼルを装備。文字盤3 時位置の日付ディスクも白から黒へ変更した。秒針のカウンターウエイトに赤の007ロゴ、さらに裏蓋にも立体的な007ロゴを刻印。

 

セラミックベゼルモデル
新たにブルーのセラミック製ベゼルを採用した「シーマスター ダイバー 300M コーアクシャル」。金属とはまた違い、高級感ある独特の光沢を放つこの素材を取り入れたことで、いっそう見栄えのするモデルとなった。各ディテールもよりモダンなスタイルに。

ベゼルの素材と意匠が進化
回転ベゼルの素材がアルミニウムからセラミックへ変更。ベゼル上の数字フォントも大ぶりで丸みを帯びた仕様に。文字盤も3時位置の日付ディスクが統一感あるブルーとなったのをはじめ、多少の変更が加えられた。

 

フルチェンジの最新作
今年発表の「シーマスター ダイバー300Mマスター クロノメーター」。マスター クロノメーターCal.8800搭載のほか、ケースサイズを拡大し、文字盤素材も変更した。自動巻き。径42㎜。SSケース&ブレス。300m防水。52万円。お問い合わせ先:オメガお客様センター

初代の文字盤意匠を再現
ケース径が41㎜から42㎜に。ベゼル同様、文字盤の素材にもポリッシュ仕上げのセラミックを取り入れ、初代モデル譲りの波模様をレーザー加工で施した。ベゼルのインデックスはエナメル。また、日付表示は3 時から6 時位置へ。

[時計Begin 2019 WINTERの記事を再構成]
文/岡崎隆奈 構成/市塚忠義