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2019.08.26
「ボヴェ」天体ロマンをミニチュア地球儀と複雑機構で視覚化【個性派時計アカデミー#1】
太陽系の時の流れを精緻に視覚化
最高級の複雑機構が"天空のロマン"を謳う!
地球、月、太陽。天体が織りなす“悠久の時”を、巧緻なメカニズムで再現。慌しい日常と格闘する現代人に、視覚的に時の本質を説く、美しくも機能的なハイエンドウォッチだ。
アワーインデックス付きの地球が24時間で1回転
ボヴェ
リサイタル 22 グランドリサイタル
2016年から始まった「天文3部作」の最終章は"太陽系儀" がテーマ。2018年、「ジュネーブ ウォッチグランプリ」で最優秀賞受賞。世界限定60本。手巻き。径46.3㎜。18KRGケース。アリゲーターストラップ。30m防水。5500万円。お問い合わせ先:DKSHジャパン
ココが個性的!
両面トゥールビヨンが"太陽"を表現
ケースの背面からも眺められる両面フライングトゥールビヨンは"太陽" をイメージ。ダイヤル上に高くせり上がったポジションで、放射される光を思わせる5本のブリッジはチタン製だ。
精密な地球と月がリアルに回転&周回
地球の絵柄は、居住地など、購入者の希望に沿ってハンドペイントされる。ムーンフェイズは特殊な高精度仕様で、実際の月と同じ、29.53日で地球を周回し、誤差はなんと122年に1日。
高度な複雑機構の数々を天体の構図で配置
「地球……儀?」。この時計を初めて見る人は、まず特徴的な12時位置の“地球のミニチュア”に惹きつけられることだろう。一般的な指針らしきものが見当たらず、戸惑うかもしれない。
このモデル、実は“時”の根源である天体の営みを、超絶的な技法で文字盤に再現したもの。くだんの地球は「時」を示す回転式の表示で、その傍には、実際の月同様に地球の周囲を巡る立体式のムーンフェイズ。6時位置では太陽を模したトゥールビヨンが機構全体を制御する。「分」を示すのは9時位置のレトログラード表示で、この星の“時”が詩情豊かに表現される。
だが、魅力は唯一無二の美観のみにとどまらない。シースルーの背面にはレトログラード式デイトを備えた永久カレンダーが配され、連続駆動時間は9日間。真価はあくまでも複雑機構としての完成度と高い実用性なのだ。
複雑機構に邁進する老舗マニュファクチュール
1822年、エドワール・ボヴェによってスイス・フルリエで創業した同社は、壮麗な装飾を施した懐中時計が世界中の王侯貴族に愛され、発展。休眠を経て1997年に復活した後は、数々のコンプリケーションを発表。
[時計Begin 2019 SUMMERの記事を再構成]
文/川口哲郎