- 時計Begin TOP
- 特集
- 「エタ社」あまりにも偉大すぎる汎用ムーブの最高峰
2020.06.03
「エタ社」あまりにも偉大すぎる汎用ムーブの最高峰
スイス最大のムーブメント会社とは?
スウォッチ・グループの中核を成すエタ社は、言わずと知れたスイス最大のムーブメント会社だ。
さらにグループはニヴァロックス社も傘下に置き、ひげゼンマイや脱進機市場でも覇権を狙う。
ムーブもひげゼンマイもナンバー1のシェア
「エタ社」は、1926年に設立されたエボーシュ(半完成ムーブメント)メーカー各社による持ち株会社エボーシュSAを、前身とする。当時の加盟メーカーには、ヴァルジューやヴィーナス、プゾー、ユニタスなどの名門が、名を連ねていた。そしてクォーツショックにより廃業を余儀なくされた各社を吸収合併して1985年に独立事業とすることで、エタ社はスイス最大のムーブメント会社となったのだ。
機械式とクォーツとを自社製造する技術と設備を有し、スウォッチ・グループ以外にも、51万個以上のムーブメントを提供している。代表作は、クロノグラフの名機7750系と、3針自動巻きのキャリバー28 系。これらがなければ、スイス時計業界が成り立たないほどに、絶大なるシェアを誇っている。近年は、これらをグループ傘下のブランドの個性に合わせてモデファイすることにも注力。さらに7750の進化形とも言えるコラムホイール+垂直クラッチのキャリバーA08.L01も2010年に新開発した。ロンジンへの提供に加え、オメガのキャリバー3330のベースにも使われている。
さらにスウォッチ・グループは、ひげゼンマイと脱進機、テンワの製造を担う「ニヴァロックス社」も傘下に置く。グループ外にも供給される同社のひげゼンマイのシェアは90%以上。グループはパテック フィリップやロンジンなどと共同でシリコン製ひげゼンマイの特許を持ち、シリコン技術にも秀でる。さらに耐磁性に優れた、新たなひげゼンマイ用合金ニヴァクロンも開発。シリコンと合金とで独自技術を確立し、時計界に盤石の地位を築く。
スウォッチ・グループ傘下
エタ社
機械式だけで50種以上を製造
エタ社の前身であるエボーシュSAは、1793年に今のヌーシャテル州で創業したエボーシュメーカーをルーツとする。現在は本社と開発部門をグレンヘンに置き、ジュウ渓谷を中心にスイス各地に製造拠点を持つ。外販用にも機械式とクォーツそれぞれに、実に豊富なバリエーションを取り揃え、ベースムーブメントとしてのあらゆるニーズに応えている。
誰もが認めるクロノ貢献度No.1[ETA7750系ロンジン ヘリテージアヴィゲーション ビッグアイ]
傑作が時代に合わせ進化
7750は、もっとも数多く使われているクロノ・ムーブだ。その3 つ目仕様の7753の進化形として、同じサイズのままコラムホイール+垂直クラッチで2010年に誕生したのが、Cal.A08.L01。右はそのロンジン仕様のCal.L688で、コラムホイールが青に染められている。毎時2 万8800振動。約53時間駆動。
LONGINES(ロンジン)
ロンジン ヘリテージ
アヴィゲーション ビッグアイ
1930年代の航空クロノを規範とし、3時位置の分積算計だけを大型化。さらにドーム型の風防とダイヤルを与え、豊かなヴィンテージ感を創出した。ジュネーヴ時計グランプリ2017「復刻」部門でグランプリを受賞。自動巻き。径41㎜。SSケース。カーフストラップ。31万6000円。問い合わせ:ロンジン
LONGINES(ロンジン)
ロンジン マスターコレクション
アニュアルカレンダー モデル
Cal.2894 A2を毎秒7振動にロービート化。64時間駆動とした上にアニュアルカレンダー・モジュールを載せたロンジン専用Cal.L897.2を搭載。3時位置に日・月の表示窓を置く。自動巻き。径42㎜。SSケース。カーフストラップ。26万7000円。
LONGINES(ロンジン)
ロンジン マスターコレクション
アニュアルカレンダー モデル
Cal.2894 A2を毎秒7振動にロービート化。64時間駆動とした上にアニュアルカレンダー・モジュールを載せたロンジン専用Cal.L897.2を搭載。3時位置に日・月の表示窓を置く。自動巻き。径42㎜。SSケース。SSブレスレット。26万7000円。
もはや機械式にとって絶対不可欠[ETA28系]
機械式時計を支え続けた量産型用ムーブ
エタ社によるセンターセコンドの自動巻きのベーシック機が、1972年誕生のCal.2824-2と、その薄型仕様として'75年に生まれたCal.2894(現Cal.2894 A2)である。どちらも頑強な設計で、調整次第でクロノメーターも取得可能。多様なモジュールを追加できる余力を持ち、実に多くのブランドが、ベースムーブメントとして長く採用してきた。
ここがスウォッチ・グループの「ゼンマイ担当」
ニヴァロックス社
機械式時計の心臓部を寡占的に供給する
1933年にラインハルト・シュトラウマン博士が発明したひげゼンマイ用のステンレス系合金ニヴァロックスを独占管理。ひげゼンマイ製造で寡占的なシェアを堅持してきた。脱進機とテンワも製造し、シリコン技術にも長ける。さらに微細なビスの製造でも、長い経験を持つ。
第3のひげゼンマイ「Nivachron™」とは?
Nivachron™とは、チタンとニオブとを主素材とした新合金。ほぼ鉄を含まないので磁気帯びせず、また熱にも強い。シリコン製ひげと違って緩急針が使えるため、既存のムーブにも置き換えできる。
SWATCH(スウォッチ)
フライマジック
Nivachron™製ひげゼンマイを初採用。そのテンプを露わにするため透明な自動巻きローターをダイヤル側に置く。世界限定各500本(日本での販売は45本のみですでに完売)。自動巻き。径42㎜。SSケース。カーフストラップ。16万6667円。問い合わせ:スウォッチ コール
SWATCH(スウォッチ)
フライマジック
Nivachron™製ひげゼンマイを初採用。そのテンプを露わにするため透明な自動巻きローターをダイヤル側に置く。世界限定各500本(日本での販売は45本のみですでに完売)。自動巻き。径42㎜。SSケース。カーフストラップ。16万6667円。問い合わせ:スウォッチ コール
[時計Begin 2020 SPRINGの記事を再構成]