2024.03.09

LVMH WATCH WEEK 2024 新作特集 ブルガリ

2024年のLVMH WATCH WEEKは、1月末にアメリカのマイアミで開催。W&W 2024を間近にしながらも、数多くの新作が発表された。やはりLVMHグループの勢い、そして開発する力は、もの凄い。時計ファンなら誰もが気になる人気ブランドの新作を順次紹介する。

50年色褪せない、アイコンの中のアイコン「ブルガリ・ブルガリ」

「ブルガリ・ブルガリ」。Ref.103967。径38㎜。自動巻き。18KYGケース。アリゲーターストラップ。203万5000円。

ブルガリを象徴する絶対的なアイコン「ブルガリ・ブルガリ」は、ブルガリにとって初めての本格的な時計コレクションとして誕生した。デビューは1977年だが、「ブルガリ・ブルガリ」には、1975年に誕生した伝説的なオリジナルが存在する。

1975年に製作した「ブルガリ・ブルガリ」の原点となる「ブルガリ ローマ」。

ブルガリのトップクライアント100名のみに贈呈品として送られた画期的なデジタル液晶ウォッチ、それが「ブルガリ・ブルガリ」のルーツである。当時の時計業界といえば、クオーツウォッチの登場によってデジタル革命が進行中。ブルガリの常顧客においても、「最先端の腕時計が欲しい」というリクエストがあったであろうことは、想像に容易い。

このオリジナルは、ブルガリ創始者ソティリオ・ブルガリの孫、ジャンニ・ブルガリの構想を、当時の人気デザイナーであったジェラルド・ジェンタがスケッチして形にしたものだ。ローマの古代コインから着想したという時計のベゼルには、ブランドロゴ「BVLGARI」が大胆にエングレービングされ、そのスタイルが今日まで受け継がれている。

ブルガリ・ブルガリ新作の38㎜ケース、自動巻きモデル。キャリバーBVL191搭載。

実は初代モデルのベゼルのロゴは「BVLGARI BVLGARI(ブルガリ・ブルガリ)」ではなく、「BVLGARI ROMA」であった。その翌年の1976年には「BVLGARI ROMA」ベゼルで手巻きのモデルが用意され、ローマ本店で限定発売。そのモデルがベースとなって1977年に世界的なデビューを果たした(ちなみにこの「BVLGARI ROMA」ベゼルは、2013年のバーゼルワールドで、その復刻デザインが誕生している)。

「ブルガリ・ブルガリ」。左/Ref.103968。自動巻き。径38㎜。18KPGケース。アリゲーターストラップ。203万5000円。右/Ref.103966。クオーツ。径26㎜。アリゲーターストラップ。126万5000円。

今回、50年という節目に用意された「ブルガリ・ブルガリ」の最新作は、オリジナルの意匠を強く感じる18Kイエローゴールドケース&ブラックマットダイアルのモデル、そして18Kピンクゴールドケース&シルバーマットオパーリンダイアルのモデル。ケースサイズはそれぞれ、径38㎜(自動巻きモデル)と径26㎜(クオーツモデル)の2種類が用意されている。

ブルガリのプロダクト クリエイション エグゼクティブ ディレクター、ファブリツィオ・ボナマッサ・スティリアーニ氏。

現在、ブルガリの時計デザインの総責任者であるファブリツィオ・ボナマッサ・スティリアーニ氏は、新作のブルガリ・ブルガリについて、次のように語っている。「オリジナルのピュアな美しさの中にブルガリのDNAが完璧に具現化されているので、それ以上の装飾は必要ありません。オリジナルのクリエイションの本質について再度迫り、現代技術を用いることでさりげなくそれを高めました」 歴代のデザイナーが、先代モデルを深く理解し、最大の敬意をはらって次世代に繋いでいることも、「ブルガリ・ブルガリ」が永く愛されていることの理由なのだろう。

オクト フィニッシモにも新作登場

またブルガリが2024年の新作ウォッチにおいて掲げたテーマが「BEYOND TIME:Time is Gold」。その真意についてCEOであるジャン-クリストフ・ババン氏は「感動を形として残します、時の流れと共に消え失せてしまわないように」と語る。その象徴となるのが、恒久的な「ゴールド」ということだが、「ブルガリ・ブルガリ」のゴールドモデルの他に、「オクト フィニッシモ」からも、抜群の存在感を放つイエローゴールドのモデルが発表された。

「オクト フィニッシモ イエローゴールド」。Ref.103812。径40㎜。自動巻き。18KYGケース&ブレスレット。690万8000円。

ダイアルにはブルガリのシグネチャーであるブルーのサンレイダイアルが組み合わされ、ひときわ特別感の高いモデルに仕上がっている。ちなみにこのモデルは、2023年に50本限定で、アメリカ市場で先行発売されたものだ。このイエローゴールドモデルの他に、ステンレススティールケースにサーモンカラーの“タスカンコッパーダイアル”を組み合わせたモデルも発表された。

「オクト フィニッシモ」 タスカンコッパー。Ref.103856。径40㎜。自動巻き。SSケース&ブレスレット。205万7000円。

ファブリツィオ氏は「このメタリックサーモンの色合いは、一般的に見られるコレクターが好むヴィンテージの美学からきたものではありません。イタリア美術のルーツである16世紀、正確にはマニエリスムと呼ばれる当時の改革的運動からインスピレーションを得たものです。同時にこれは、私自身のデザイナーとしての挑戦であり、実験的かつ破壊的な芸術的アプローチを象徴しています」と、その意気込みを語った。

お問い合わせ:ブルガリ公式サイト

文・構成/市塚忠義