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2020.09.09
複雑系だけではなく定番系も値上げに ー2000年代後期ー【歴代時計グランプリの「今」】
コンプリケーションを中心としたハイエンドモデルが増えるとかつての定番モデルも便乗。知らぬ間に買えない価格帯になっていた。
時計ブランドのラグジュアリー化が加速
4ケタ価格のコンプリウォッチが飛ぶように売れた結果、ロングセラーを続けてきた定番モデルや、入門者向けのエントリー系も価格を底上げ。給料1ヵ月分と言われていた高級腕時計の購入予算は、いつの間にか2ヵ月分が目安に。高くても売れる「ブランド力」を印象づけるため、作る側もラグジュアリー化を目指していった。“安い”、“お買い得”といった形容詞は敬遠され、誌面で使うことも忖度するように。
また価格高騰のもう一つの原因が「自社製ムーブ」である。ETAムーブがついに供給されなくなる……。“2010年問題”を目前に各社が自社製ムーブ開発を推進。莫大な投資を行った結果、時計の価格は高くなった。SSの3針モデルで50万円、自社製ムーブならプラス30万円、クロノなら100万円オーバーといった具合だ。「高すぎて、もう買えません!」そんな悲鳴は2008年にリーマンショックが起きると、さらに深刻化した。
結局、蓋を開けてみれば、誠実で変わらない時計作りをしていたのは、ロレックスやオメガといった超メジャーブランドの定番系。自社ムーブ化にも早くから取り組み、この頃には安定した製造ラインで量産体制が整っていた。年間数十万個を製造する巨大メーカーは、クオリティ管理はもちろん、時計の値付けに関しても相当シビア。いたずらに価格操作は行わないのだ。
そんな思いから2008年のグランプリはオメガの「シーマスター アクアテラ」に。自社製コーアクシャル、キャリバー8500を搭載しながら、極めて良心的な価格だったことが決め手となった。現行モデルはさらに性能をアップしたキャリバー8900を搭載。コスパの高さは相変わらずである。
今買える後継モデル!
オメガ
シーマスター アクアテラマスター クロノメーター
ココが進化
文字盤が横ストライプに!
ムーブはMETAS公認
ストライプが縦から横にムーブの耐久性もアップ!
2008年 グランプリモデル
OMEGA(オメガ)
シーマスターアクアテラ
受賞の理由
自社製キャリバー8500の高い完成度
2005年に行った1000人アンケートで判明
みんなの欲しいを1つにしたら……
2000年代のその他のグランプリモデル
グランプリに輝いたブランドは老舗ばかり
2000年
「ロレックス/デイトナ」
2003年
「ゼニス/グランド・クロノマスター XXT オープン」
2005年
「IWC/インヂュニア・オートマティック」
2006年
「ブライトリング・フォー・ベントレー/ベントレー・フライングB」。
2007年
「グランドセイコー/スプリングドライブ クロノグラフ」
2009年
「ショパール/L.U.C クロノ ワン」
[時計Begin 2020 SUMMERの記事を再構成]