2021.02.10

最近よく聞く時計素材……「高性能スティール」ってどうすごいの?

Q1 最近よく聞く……
「高性能スティール」どうすごい?

A1
耐食性に優れ、高硬度。さらに質感も美しい!

SSの可能性を極めた
〝次世代グレード〞

いうまでもなく、ステンレス・スティール(SS)は時計の素材におけるマジョリティである。錆びにくく頑強で、一般的に価格が手頃なのも魅力。高級感というよりは汎用性の高さ、ベーシックな安定感で幅広い人気を誇る。

近頃このSSで、俄かに「高性能スティール」(スーパースティール)なる新機軸が台頭。名称からは高品位な印象が漂うが、その内実とは?

ステンレス・スティールは鉄(スティール)にクロムなどを加え、耐食性や硬度を増強した合金。もっとも広く用いられる「SUS 304」、クロムの含有量を増やしてモリブデンを加え、さらに炭素を減らすことで前述の特性を強めた上位の「SUS 316L」などが一般的だが、高性能スティールとして注目される「SUS 904L」などは、クロム含有量をさらに増やすこ上している。

本来、これらは化学産業や医療用。ブランドにより呼称や成分比率は異なるが、従来のSSを凌駕し、質感も高い。SS=廉価という公式を覆し、実用的な高級機種の指標として、存在感が増している。

 

Point
各社各様の名称がある
高性能スティール

従来のSS素材より、錆びにくさの指標となる「耐孔食指数」(PREN)が大幅に向上。

オイスタースチール

ロレックス
ROLEX
オイスター パーペチュアル 41
904L系のオイスター
スチールを採用

1985年から高性能スティールを採用するロレックスの代表作が新サイズ&新世代Cal.3230の採用でリニューアル。自動巻き。径41㎜。SSケース&ブレスレット。100m防水。56万5000円。問い合わせ:日本ロレックス

ルーセント スティール A223

ショパール
CHOPARD
アルパイン イーグル XL クロノ
開発に4年をかけた独自の高性能SS素材

1980年の名作「サンモリッツ」の復刻版。独自のルーセント スティールA223は通常のSSの1.5倍の硬度。自動巻き。径44㎜。SSケース&ブレスレット。100m防水。220万円。問い合わせ:ショパール ジャパン プレス

XO スティール

チャペック
CZAPEK
ケ・デ・ベルク ブラックエナメルS
耐食性に優れる XOスティール

スイスのモンタンシュトール社による高性能SS、XOスティールを採用。文字盤はグラン・フー・エナメル。手巻き。径38.5㎜。SSケース。アリゲーターストラップ。5気圧防水。260万円。問い合わせ:ノーブルスタイリング

エバー ブリリアント スチール

セイコー
SEIKO
プロスペックス SBEX009
白みを帯びた美しい光沢にも注目!

1965年の初代ダイバーズを海洋構造物や食品プラントで使われる高性能SSで再現。自動巻き。径39.9㎜。SSケース。強化シリコンストラップ。200m防水。65万円。1100本限定。問い合わせ:セイコーウオッチお客様相談室

 


[時計
Begin 2021 WINTERの記事を再構成]