2022.06.27

セイコー プロスペックス「マリーンマスター プロフェッショナル」はなぜヘリウム排出バルブ不要なのか?

マリーンマスター プロフェッショナル SBDX038/2009年に始まった機械式1000m飽和潜水防水の最新作。針とインデックスの形状はオリジナルの設計思想を受け継ぎ、海中での判読性を高めた。自動巻き。径52.4mm。チタン+セラミックケース。シリコンストラップ。44万円。

独自のL字型パッキンでヘリウムをシャットアウト

深海で作業する潜水士は窒素酔いを防ぐため、あらかじめ加圧室でヘリウムガスを体内に取り込み飽和状態にする。そして浮上時には途中、減圧室でガスを抜く。その際に放出される原子が小さいヘリウムは、時計内部に浸入し、再び浮上する際に膨らんで時計を破壊してしまう。この問題を解決するため、スイスの時計メーカーは放出バルブを備える道を選んだ。対してセイコーが1975年に発表した「プロフェッショナルダイバー600m」は独自のL字型パッキンを搭載することで、ヘリウムの浸入を完全にシャットアウトした。1986年には外胴をセラミック製として耐衝撃性を向上させると同時に、1000m飽和潜水防水を実現。その構造と、優れた視認性を持つダイヤルとを、この「SBDX038」は受け継ぐ。同時にベゼルに耐食性が高いエバーブリリアントスチールを採用するなど最新技術を注ぎ込んだ。より屈強な外装で、潜水士を強力にサポートする。

ダイバーズ専用の高性能機

搭載するCal.8L35は雫石高級時計工房で製造されるダイバーズ専用の高級機。丈夫な作りで時計としての耐久性を高めている。毎秒8振動。パワーリザーブは、約50時間。

セイコー伝統のワンピースケース

裏蓋のないワンピース構造のケースは、初代ツナ缶からの伝統。外胴とともに高い気密性をもたらす。サファイアクリスタル風防も驚くほどに厚く、1000mの水圧に耐える。

歴代の限定モデル

ツナ缶は折に触れ限定モデルが登場し、人気を博している。右から「1986 クオーツダイバーズ 35周年記念限定モデル SBBN051」、「1978 クオーツダイバーズ 40周年記念限定モデル ヴァイオレットオーシャン SBBN042」、「1978 クオーツダイバーズ 復刻デザイン SBBN040」。すべて完売。

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[時計Begin 2022 SPRINGの記事を再構成]