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2022.07.21
ジャガー・ルクルト【レベルソ】ケースを反転させる角型時計~ロングセラー変遷記
オリジナルモデル
1931年
ケースを反転させる仕草にも注目が集まる
耐久性の高いアクリルガラスが登場する1940年代まで、風防の破損はレベルソに限らず腕時計の深刻な問題だった。この反転ケースにより風防が守られることになったが、その仕草がカッコイイと評判に。左のイラストは、1932年のレベルソの広告。
1985年
ケースの精度が格段に向上
現行レベルソのルーツになっているのが、この第二世代のレベルソ。この複雑なケース形状にして、日常生活防水も手に入れている。ダイヤルの中心、レイルウェイインデックスの中にギョーシェ模様はなく、非常にスッキリとした顔つき。
変更点
パーツ点数が増えより精密に
これまでのケースがスライドさせないと反転させられなかったのに対し、新型設計のケースでは、スライドせずとも反転が可能になった。またケースの構成パーツ数を、約30点から50点以上に増やし、加工精度も高めている。
2011年
オリジナルのダイヤルを復活
1931年の初代レベルソの文字盤に採用されていた針やインデックスを忠実に復刻。発表当時の名前は「グランド・レベルソ・ウルトラスリム・トリビュート・トゥ・1931」。現行トリビュート・モデルのファーストにあたるのが、このモデル。
変更点
よりシンプルにより薄く
初期モデルを再現したため、文字盤にジャガー・ルクルトのロゴはなく、12時位置にシンプルに「REVERSO」と刻まれている。ケースサイズは縦46㎜、横27㎜、厚さ7.2㎜。1985年製と比べると、やや大きく薄い。
2016年
初の自動巻きモデル登場
「レベルソ・クラシック」シリーズとしては初となる自動巻きモデルが登場。搭載されたムーブメントは、キャリバー965。レディス用に開発された小型キャリバーなので、ケース幅の狭いレベルソのケースにも難なく収まったことが採用された理由だ。
変更点
ダイヤルに自動巻きの文字が
レイルウェイの秒インデックスは、枠を取り除いたデザインに変更され、その内側も菱形パターンの新デザインが採用されている。ケースサイズは、縦40.1㎜×横24.4㎜。また文字盤にAUTOMATIQUEの文字が入った。
現行モデル
2017年
スモセコ付きの3針
手巻きレベルソ復活でラインナップされたスモセコモデル。こちらのミディアムの他にラージ(45.6㎜×27.4㎜、86万2400円)も。手巻き。SSケース。アリゲーターストラップ。ケースサイズ42.9㎜×25.5㎜。83万1600円。
変更点
ひと回り大きなケースのスモセコ
ムーブメントは1992年誕生の手巻きの傑作、キャリバー822。振動数は、毎時2万1600振動で、パワーリザーブは約42時間。なお、キャリバー822A/2が2針用、キャリバー822/2がスモールセコンド用となっている。
現行モデル
2017年
薄型ケースに進化
ケースの厚さは7.4㎜と、より薄くなっている。またこのモデルの他に、ひとまわり小さいスモール(35.78㎜×21㎜、67万7600円)もある。手巻き。SSケース。オーストリッチストラップ。ケースサイズ40.1㎜×24.4㎜。70万8400円。
変更点
放射状のギョーシェ装飾に
ダイヤル中央のギョーシェ装飾が放射状の新デザインに変更され、より精悍な印象に生まれ変わった。2016年の自動巻きモデルと比べると、時分針もやや太くなっている。文字盤に入る文字は、ブランドロゴとSWISS MADEのみに。
紳士のために考案されたタフなスポーツウォッチ
外観は非常にクラシック。しかし、1931年にレベルソが誕生した時、このケース構造に誰もが衝撃を受けたことは容易に想像できる。角形でケースをスライドさせ、文字盤もろとも反転させるなど、普通では思いつかない。レベルソ誕生のきっかけは、ポロ競技中の激しい接触で時計のガラスが割れてしまうことを防ぐためだった。ならば時計を外せば良いのでは? そこは紳士のスポーツ。当時最先端の「腕時計」をつけて活躍することが粋なファッションでもあり、周囲へのアピールポイントであった。
そういった意味では、現在時計業界を席巻している「ラグスポ」時計の原点。高級感とタフさを兼ね備えたマスターピースである。その後のレベルソは何度か製造休止期間を経ることになるが、現行モデル「レベルソ・クラシック」のルーツとなっているのが、’85年に誕生した第二世代。防水性を獲得し、手巻きキャリバー846を搭載していた。
この小型ムーブは2015年までレベルソ・クラシックに搭載され続け、ひとまわりサイズの大きなキャリバー822へとバトンタッチ。現行モデルは、このキャリバー822を積んでいるが、その過程がやや複雑。’16年、レベルソ・クラシックに自動巻き搭載モデルが登場すると、手巻きが消滅。しかし手巻き復活を願う声は後を絶たず、翌年に早くも手巻きが復活。この復活の時、新しくケースを設計し直し、厚さ7・4㎜という薄型の反転ケースを手に入れた。現在では、より初代に近い「レベルソ・トリビュート」などもラインナップに加わり、ジャガー・ルクルトの中心となって支えている。
お問い合わせ:ジャガー・ルクルト公式サイト
[時計Begin 2022 SPRINGの記事を再構成]