2022.11.04

ロングセラー変遷記:A.ランゲ&ゾーネ「ランゲ1」

ブランド復興第一弾の象徴的なアイコン時計

1990年に復興したA.ランゲ&ゾーネの初作として披露され、今もブランドを象徴する「ランゲ1」。機能・デザインで個性際立つこのモデルの変遷を追う。

1994
Original model:高級工房再興の礎を築く完成度抜群の第1作目

 

1994年に登場したブランド復興後のファーストモデル。グラスヒュッテ時計伝統の高級仕様キャリバーL901.1を搭載し、個性的なオフセンター文字盤、特許取得のアウトサイズデイトなど、初作とは思えない完成度の高さで発表後すぐに注目を集めた。

ブランド人気を決定づけた30年不変の個性派スタイル

グラスヒュッテ時計の正統な継承者A.ランゲ&ゾーネ。第2次世界大戦後の東西ドイツ分裂にともない、東側に属した同地の時計産業は国有化を余儀なくされ、19世紀の時計師F・アドルフ・ランゲを始祖とする高級時計の伝統はいったん途絶えた。だが1990年の東西ドイツ統一後、同社はいち早く復興を遂げ、4年後に「ランゲ1」を含む4モデルを発表したのである。

総帥ギュンター・ブリュームラインを筆頭に、当時のLMHグループの精鋭を集めて製作した作品は、黄金比を応用した美しいオフセンター文字盤に、後にビッグデイトとして普及する自社開発の「アウトサイズデイト」やパワーリザーブ表示をバランスよく並べ、ひと目でそれとわかる個性を獲得。一方、搭載する手巻きムーブには、洋銀製4分の3プレート、ビス留めゴールドシャトン、手彫り彫刻のテンプ受けといった伝統の高級様式を網羅し、わずか4年で作り上げたとは考えられぬ圧巻の姿で高らかにブランド復興を告げた。

ランゲ1の人気はたちまち高まり、1998年に小振りな「リトル・ランゲ1」、2003年に大型の「グランド・ランゲ1」を発表。’10年には初の自動巻き「デイマティック」も登場する。さらに、より進化した新型ムーブを搭載して’15年にオリジナルが、今年は「グランド」がリニューアルを果たした。

気がつけば登場から約30年。この間、同社は老舗に肩を並べる有数の高級ブランドとなった。その礎を築いたのは間違いなくランゲ1であり、30年変わらぬ高級仕様とアイコン意匠なのだ。

1998年:機能はそのままサイズ縮小/ランゲ1の人気に応え、1998年にひと回り小さなサイズで登場した「リトル・ランゲ1」。小型化にもかかわらず、ランゲ1と同じ72時間パワーリザーブのムーブを搭載し、アウトサイズデイト、パワーリザーブ表示といった機能と象徴的デザインを維持した。 <変更点> 同じレイアウトのままシャープに/初代ランゲ1からケース径を2.4㎜縮小。各表示機能が文字盤上で凝縮されたことで、いくぶんシャープな印象を醸し出す。最大の変更点としては、アウトサイズデイト用の調整ボタンをケースサイドに埋め込み式にした。

2003年:存在感アップの大型サイズ/2003年にランゲ1ファミリーに仲間入りした大型モデル「グランド・ランゲ1」。ツートーンの文字盤デザインを採用したことで存在感が増した。2012年には新キャリバーL095.1の導入により、ケース厚が11㎜から8.8㎜へとスリム化を果たしている。 <変更点> 迫力ある各表示の交差デザイン/オリジナルのランゲ1と比べ、ケースサイズが3.4㎜大型になって直径41.9㎜へ。文字盤ベースとサブダイヤルで色調を変え、各サブダイヤルやアウトサイズデイト、針などが互いに重なり合うレイアウトとなるのも特徴だ。

2010年:ランゲ1初の自動巻き/ランゲ1ファミリーでは初となる自動巻きモデル「ランゲ1・デイマティック」。従来のオフセンター文字盤をベースにしつつ、左右反転のデザインを採用した。自社製の自動巻きキャリバーL021.1搭載。9時位置にレトログラード式曜日表示を備える。 <変更点> 基本デザインは変えずに左右反転/自動巻き化にともない、サブダイヤル、アウトサイズデイトなどが左右反転となる文字盤デザインに。また、自動巻きモデルではそれほど必要性のないパワーリザーブ表示に代え、同じ仕様のレトログラード式曜日表示を導入した。

現行モデル 2015年:高性能ムーブ搭載の新型/2015年にオリジナルのランゲ1がリニューアル。自社製ひげゼンマイを備えた新キャリバーL121.1を搭載し、現在もラインナップする。手巻き。径38.5mm。18KPGケース。アリゲーターストラップ。3気圧防水。482万9000円。 <変更点> 自社製パーツ採用で性能アップ/新開発のキャリバーL121.1では、自社製ひげゼンマイとフリースプラング式偏心錘付きテンプを取り入れ、より性能がアップグレード。また、アウトサイズデイトも0時きっかりに日付が切り替わるように進化を果たした。

現行モデル 2022年:大型サイズモデルの最新作/今年発表された「グランド・ランゲ1」のニューバージョン。シルバー無垢製の文字盤とゴールド無垢製の針&インデックスを備える。キャリバーL095.1搭載。手巻き。径41mm。18KPGケース。アリゲーターストラップ。3気圧防水。589万6000円。 <変更点> 原点回帰のエレガントデザイン/搭載キャリバーやデザインなど、基本的に2012年のリニューアル時を踏襲。’03年の初登場時とくらべると、文字盤のサブダイヤルやアウトサイズデイトなどが重ならない仕様に。ケースも0.6mm薄くなり、よりエレガントになった。

1998年:機能はそのままサイズ縮小/ランゲ1の人気に応え、1998年にひと回り小さなサイズで登場した「リトル・ランゲ1」。小型化にもかかわらず、ランゲ1と同じ72時間パワーリザーブのムーブを搭載し、アウトサイズデイト、パワーリザーブ表示といった機能と象徴的デザインを維持した。  <変更点>  同じレイアウトのままシャープに/初代ランゲ1からケース径を2.4㎜縮小。各表示機能が文字盤上で凝縮されたことで、いくぶんシャープな印象を醸し出す。最大の変更点としては、アウトサイズデイト用の調整ボタンをケースサイドに埋め込み式にした。
2003年:存在感アップの大型サイズ/2003年にランゲ1ファミリーに仲間入りした大型モデル「グランド・ランゲ1」。ツートーンの文字盤デザインを採用したことで存在感が増した。2012年には新キャリバーL095.1の導入により、ケース厚が11㎜から8.8㎜へとスリム化を果たしている。 <変更点> 迫力ある各表示の交差デザイン/オリジナルのランゲ1と比べ、ケースサイズが3.4㎜大型になって直径41.9㎜へ。文字盤ベースとサブダイヤルで色調を変え、各サブダイヤルやアウトサイズデイト、針などが互いに重なり合うレイアウトとなるのも特徴だ。
2010年:ランゲ1初の自動巻き/ランゲ1ファミリーでは初となる自動巻きモデル「ランゲ1・デイマティック」。従来のオフセンター文字盤をベースにしつつ、左右反転のデザインを採用した。自社製の自動巻きキャリバーL021.1搭載。9時位置にレトログラード式曜日表示を備える。 <変更点>  基本デザインは変えずに左右反転/自動巻き化にともない、サブダイヤル、アウトサイズデイトなどが左右反転となる文字盤デザインに。また、自動巻きモデルではそれほど必要性のないパワーリザーブ表示に代え、同じ仕様のレトログラード式曜日表示を導入した。
現行モデル 2015年:高性能ムーブ搭載の新型/2015年にオリジナルのランゲ1がリニューアル。自社製ひげゼンマイを備えた新キャリバーL121.1を搭載し、現在もラインナップする。手巻き。径38.5mm。18KPGケース。アリゲーターストラップ。3気圧防水。482万9000円。 <変更点>  自社製パーツ採用で性能アップ/新開発のキャリバーL121.1では、自社製ひげゼンマイとフリースプラング式偏心錘付きテンプを取り入れ、より性能がアップグレード。また、アウトサイズデイトも0時きっかりに日付が切り替わるように進化を果たした。
現行モデル 2022年:大型サイズモデルの最新作/今年発表された「グランド・ランゲ1」のニューバージョン。シルバー無垢製の文字盤とゴールド無垢製の針&インデックスを備える。キャリバーL095.1搭載。手巻き。径41mm。18KPGケース。アリゲーターストラップ。3気圧防水。589万6000円。 <変更点>  原点回帰のエレガントデザイン/搭載キャリバーやデザインなど、基本的に2012年のリニューアル時を踏襲。’03年の初登場時とくらべると、文字盤のサブダイヤルやアウトサイズデイトなどが重ならない仕様に。ケースも0.6mm薄くなり、よりエレガントになった。

 

お問い合わせ:A.ランゲ&ゾーネ公式サイト

[時計Begin 2022 SUMMERの記事を再構成]