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2024.01.23
真のクリエイション……それはカルティエだけ
カルティエのウォッチコレクションが、よくある宝飾ブランドの片手間時計だって?
そんな認識が間違いなのは、このブランドの歴史的クリエイティビティを見れば明らか!

【カルティエ タンク フランセーズ】1996年に発表された「タンク」コレクションの1本。ケースと一体化したメタルブレスレットを初採用し、時代を反映する新たな角型ウォッチとして登場した。今年発売の新作では、より力強いラインをもつモダンスタイルへと進化を遂げている。自動巻き。36.7×30.5㎜。SSケース&ブレスレット。日常生活防水。86万9000円。
ジュエラーだから生まれた革新的デザインのアイデア
ご存知のようにカルティエは〝キング・オブ・ジュエラー〞と称される宝飾界のトップメゾンだ。だがそれゆえ、いまだにカルティエの時計を宝飾ブランドが片手間に作っている時計と勘違いする向きがある。それが間違いであることは、同社の時計製造の歴史と歴代モデルが証明してくれるだろう。
カルティエでは19世紀後半にはすでに、女性用ブレスレット時計や軍用時計といった時計製造に着手していた。これが加速するのは3代目当主ルイ・カルティエが経営に携わってから。彼は1904年、ブラジルの富豪で飛行家でもあるアルベルト・サントス=デュモンの依頼により、角型ケースにストラップを装着した時計を開発。後に量産化されるこのモデルは、世界初の男性用腕時計といわれている。1917年には、ルノー製戦車の設計図に想を得た「タンク」を発表。今も続く主力角型コレクションのルーツに。さらに1940年代、モロッコの太守(パシャ)の要請で試作品が開発されたラウンド型防水時計が「パシャ」となり、現在のコレクションに至るのである。
時計にはセンスとユーモアが必要なのさ!

ガイ・リッチー監督「タンク フランセーズ」のキャンペーンフィルムより。ラミ・マレック(写真)とカトリーヌ・ドヌーヴが出演。
その他にもトノー型の「トーチュ」や左右非対称の「タンクアシメトリック」、独創的としかいいようのない「クラッシュ」など、カルティエが作り上げた時計デザインは枚挙に暇がない。それらの創造性豊かで遊び心ある発想は、生粋の時計メーカーではないジュエラーだからこそ生まれたともいえる。これでそこらの宝飾ブランドとは一線を画す時計界の革命児であることがお分かりだろう。
「◯◯っぽい?」そんな時計、カルティエは作らない

【バロン ブルー ドゥ カルティエ】バロン(風船)のようにふくらみを帯びたラウンド型モデル。3時位置に同じ形のリングを配し、ブルーのカボションリューズが覗く。自動巻き。径36㎜。SSケース。アリゲーターストラップ。日常生活防水。91万8500円。

【サントス ドゥ カルティエ】1904年、ブラジル人飛行士のために開発した角型。それを受け継ぐスケルトンではインデックス以外を大胆にカットし、斬新なアールデコに仕上げた。手巻き。47.5×39.8㎜。SSケース&ブレスレット。10気圧防水。462万円。

【パシャ ドゥ カルティエ】1985年に原型が誕生したラウンド型防水モデル。本作は「パシャ」初のクロノを再現し、回転ベゼルとカボション付きボタンを備えた。自動巻き。径41㎜。18 KYGケース。アリゲーターストラップ。10気圧防水。394万6800円。

【クラッシュ】1967年に製作された独創的スタイルのゴールド製モデル。事故により歪んでしまった時計の形を再現したフォルムとされる。ケース同様に歪んだ文字盤デザインと合わせ、サルバドール・ダリのシュールな作品を思わせる。

【タンク アシメトリック】1930年代に発売された「タンク」の特殊デザインモデル。その名の通り左右非対称となるアシメトリックなケースデザインで、オリジナルはコレクター間で非常に人気が高い。’90年代以降に復刻モデルも登場した。

【トーチュ】1912年に登場したトノー型ウォッチ。コンプリケーションの中でももっとも複雑な技術を要するミニッツリピーター機構を備え、ケース左側のレバーをスライドさせることで、時・15分・1分単位を美しい音色で知らせた。

【クロシュ ドゥ カルティエ】英語で"鐘"を意味する「クロシュ」。時計のケースを反時計回りに90度回転させると鐘のように見えることから、その名がついた。通常の時計とは異なり、リューズのある「3時」が「12時」となる。