2024.12.03

時計Beginで語り継がれるインヂュニア伝説の数々

sponsored by IWC

そのポテンシャルは、規格外

「伝説」という言葉は、ついつい編集者が使いがちなワードのひとつ。時計業界においても「伝説の〜」というフレーズは、あちらこちらで目にする。しかし、その中にどれだけ本物の伝説があるのだろうか。IWC「インヂュニア」が打ち立ててきたような、本物の伝説が。

時計Beginは、インヂュニアの凄まじいポテンシャルを、かなり早くからキャッチして、その実力の高さを紹介してきた。IWCがまだリシュモングループに入る前、まだ今のように時計のラインナップがしっかり整理されていない頃から、ずっと追いかけてきた。

今回の記事では、これまで時計Begin本誌で紹介してきたインヂュニアの特集から、今でも語り継がれる伝説の企画を厳選。歴代インヂュニアの実力を再検証しながら、発表されたばかりの最新のインヂュニアまでを紹介していきたい。

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時計Beginのインヂュニア伝説①

幻の50万A/mを現役最強に認定!

最初に紹介する記事は、1998年1月号。1990年代の時計業界といえば、クォーツショックからは完全に立ち直り、高級時計、機械式時計が再びブームになりかけていた頃。『時計Begin』もそんな中で立ち上がった雑誌のひとつだが、機械式時計の良さを再認識するきっかけとなったのが、アンティークウォッチである。新品時計とは違い、アンティークの時計はコンディションが様々。「磁気帯び」で精度の出ていない個体も多く、「どうやら機械式最大の天敵は“磁気”らしい」という認識から耐磁時計に俄然注目が集まると、そこで人気を博したのがロレックスの耐磁時計「ミルガウス」だった。ミル(1000)ガウス=8万A/m(アンペア毎メートル)の耐磁時計は市場価格が急騰。しかし、調べていくうちに8万A/mどころではない、ケタ違いの耐磁モンスターがいることが判明。それが1989年にIWCがリリースした「インヂュニア」であった。その耐磁性能は、なんと50万A/m。ダイアルには「500,000A/m」の文字が誇らしげに刻印されていた。JIS規格の耐磁時計1種の基準が4800A/mであることからも、この時計の怪物ぶりが分かるだろう。

時計Beginのインヂュニア伝説②

現役プロ野球選手の「1トン」で試し打ち!

時計ブランドがトップアスリートとアンバサダー契約を結ぶのは、珍しいことではない。スポーツ選手が持つアクティブな印象、そしてスポーツ競技のタフなイメージを時計と共有することが目的だ。だからと言って、その腕時計が実際の“競技中”に着けられているかというと、そんなことはない。プロスポーツ選手の激しい動きに耐えられるほど、実際の機械式時計はタフじゃない。試合後のインタビューの時に、さっと時計をはめてカメラの前に現れるのがお決まりなのだ。耐磁性能に加え、耐衝撃性能も備わるインヂュニアは、果たしてどれだけの衝撃に耐えられるのか? そんな素朴な疑問から持ち上がったのが「現役プロ野球選手でフルスイング」という、破天荒な企画。2006年当時、ガニ股打法で横浜ベイスターズの主力バッターであった種田 仁選手に協力してもらい、インヂュニアを実際に腕に着けて150キロの速球を本気打ちしてもらった。バットのヘッドスピードは時速120キロ、インパクトの衝撃はなんと1トン。果たしてインヂュニアは大丈夫なのか? 実際に現場に精度測定器「ウォッチエキスパート」を持ち込み、ビフォーアフターの精度をチェックすると……歩度・振り角とも全く異常なし! 打撃前と全く変わらない正確な数字をたたき出したのだった。

時計Beginのインヂュニア伝説③

1000ガウスの永久磁石にピッタリ密着!

続くインヂュニア伝説は、やはり耐磁性能にまつわるテストもの。耐磁モンスターとはいうものの、本当に驚異的な磁力にさらされても問題はないのか。当時の時計Begin編集部はよほど意地悪だったのか、インヂュニアの大前提「耐磁性能8万A/m」にもメスを入れた。良い子は絶対に真似しちゃダメだが、機械式時計に強力な永久磁石を密着させると、それまで動いていた秒針がピタッと止まってしまう。それほど時計は磁気に弱く、一度磁気帯びしてしまうと精度は元には戻らない。しかし、ダメと言われるとやりたくなるのが人の常。2006年当時のインヂュニア現行モデルが持っていた耐磁性能と同等の8万A/m=1000ガウスの磁石を近づけてみたい! 怒られるのを覚悟でIWCに申し出たところ、なんと快諾。当時のIWCのCEOといえば、現ブライトリングCEOのジョージ・カーン氏。現在はちょっと丸くなったようだが、この頃はキレッキレのカリスマ経営者として有名だった。今だったら“出禁レベル”の無茶苦茶なお題を、カーン氏はすんなり受け入れた。磁力測定器で1394ガウスを表示した永久磁石をインヂュニアにピッタリとくっつけてみると……やっぱり全く異常なし! 精度測定器の数字にも変化は全くみられなかった。カーン氏のあの余裕は、こうなる結果を最初から分かっていたからだったのだろう。

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ブティックの「プロ」と考える 

いま買えるインヂュニア、選ぶならどのタイプ?

ここからは、いま買える最新の現行インヂュニアをご紹介。耐磁性能は4万A/m(それでも十分すぎるスペックだが)となったが、軟鉄性インナーケースでムーブメントを保護しながらも、かつてないスリムなボディを手に入れている。直営ブティックのプロ達の意見も聞きながら、4タイプあるインヂュニアの中から、自分に最適な1本を見つけて欲しい。

 

インヂュニアの伝統で選ぶなら「ブラックダイアル」

「インヂュニア オートマティック 40」。IW328901。自動巻き。径40㎜。SSケース&ブレスレット。177万6500円。

先に紹介した50万A/mモデルをはじめ、あのジェラルド・ジェンタがデザインを手がけた1974年の第3世代モデルからも、インヂュニアといえば「ブラックダイアル」のイメージが強い。ステンレススティールのメタルにブラックダイアルの組み合わせは、王道だ。

ブラックダイアルの推薦人

「ジェラルド・ジェンタがデザインした『インヂュニア SL』の特徴を受け継ぐ外装はもちろん、5日間のパワーリザーブや高耐磁性など、歴代モデルを超える最新のインヂュニア。年代問わず、間違いのないおすすめの1本です」(IWC心斎橋ブティック/廣野さん)

 

通があえて指名する「シルバーダイアル」

「インヂュニア オートマティック 40」。IW328902。自動巻き。径40㎜。SSケース&ブレスレット。177万6500円。

ダイアルにシルバーメッキを施したインヂュニアは、まるで鉄の塊から削り出したかのようなメタル感が、極めてクールで都会的。ビンテージインヂュニアは、ホワイトダイアルの方が数が少なくレアだったが、現行モデルでは完全なホワイトダイアルはラインナップされておらず、このシルバーダイアルがかつてのホワイト系の役割を果たしている。

シルバーダイアルの推薦人

「この時計はバランスが絶妙です。歴史、ケース、スペック、素材感、デザイン、オン・オフを問わず大切な1本として、ご愛用いただけます。腕に乗せた時の存在感に、購入されたお客様は、みなさん大変ご満足なさっています」(IWC銀座ブティック/松井さん)

 

毎日着けたい人には「チタンケース」

「インヂュニア オートマティック 40」。IW328904。自動巻き。径40㎜。チタンケース&ブレスレット。221万6500円。

ケースとブレスレットに、IWCが得意とする素材であるグレード5チタンを採用しているため、非常に軽量。インヂュニアSLからの意匠である「ケース一体型ブレスレット」の高い装着性を、加工の難しいチタン素材でも実現。H型リンクは徹底的に磨き上げられている。

チタンケースの推薦人

「インヂュニア指名で来店されるジェンタファンのお客様もいらっしゃいます。デザインはもちろんですが、人間工学に基づいたチタンブレスレットの装着感に驚く方も多く、購入したあとも、大変ご満足いただいているようです」(IWC大阪うめだ阪急ブティック/織田さん)

 

個性重視の人には「アクアダイアル」

「インヂュニア オートマティック 40」。IW328903。自動巻き。径40㎜。SSケース&ブレスレット。177万6500円。

インヂュニアの歴史の中でも初めての挑戦となったのが、このグリーンとブルーのちょうど中間のような色合いの「アクアダイアル」。インヂュニアにはあまり「水」のイメージがなかったが、実は10気圧という高い防水性能を持っているなど、インヂュニアとアクアの相性の良さを証明した1本。

アクアダイアルの推薦人

「アクアダイアルの上品かつ、深みのある美しい色がおすすめです。実際にこのモデルを見て腕に乗せたお客様からは『写真よりも現物の方が綺麗』と、ご好評をいただいておりますので、ぜひブティックで現物をチェックしてみてください」(IWC新宿ブティック/橋本さん)

 

最新のインヂュニアは待望の「ブルーダイアル」!

「インヂュニア オートマティック 40」。IW328907。自動巻き。径40㎜。SSケース&ブレスレット。177万6500円。

これまで「インヂュニア オートマティック 40」に用意されていたのは、上に紹介したSSケースのブラックダイアル、シルバーダイアル、アクアダイアルと、チタンケース&グレーダイアルの4種類のみであったが、2024年も終わろうとしている年末に、IWCから素敵なクリスマスプレゼント! なんとインヂュニアに新たなメンバー「ブルーダイアル」が加わった。他モデル同様、四角形で構成される独自のグリッドパターンが型押しされ、その上にPVDコーティングを施すことで、深みのあるブルーダイアルを実現。かつてのインヂュニアにはブルーダイアルが存在したが、現行モデルでは、これが初。

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文・構成/市塚忠義