2025.06.21

ロレックスが脱進機に禁断のメス⁉

新脱進機に加え、ブリッジに固定するためのプレートとシリコンで一体成形したシロキシ・ヘアスプリングを採用。さらにテンプの軸(天真)は、極めて滑らかに加工されたセラミック製で振動効率を高めると同時に頑強さも向上させている。シリコンとセラミックは磁場への耐性が強いので、数値は公表されていないがCal.7135の耐磁性能は、極めて高いだろう。

2つのガンギ車が備わる高効率なシリコン製脱進機

ジュネーブの会場で一番の話題をさらったのが、この「オイスター パーペチュアル ランドドゥエラー」だった。新コレクションが登場したから……というだけでなく、スイスレバー式に代わるまったく新しい脱進機が搭載されていたからだ。それが上図のダイナパルス エスケープメントである。

 

構成パーツは、左からインパルスロッカー、2つのディストリビューションホイール(以降、便宜上ガンギ車と記す)、それらを駆動するトランスミッションホイール(以降、駆動車)。これらの本体は、いずれもシリコン製である。2つのガンギ車が備わる脱進機は、これまでにも存在してきた。代表例が、ナチュラル脱進機だ。これは、2つのガンギ車の各歯先が交互にテンプの振り座を直接打つ仕組み。一方ダイナパルス エスケープメントのガンギ車は、インパルスロッカーを交互に作動させ、二股部が振り座を打つスイスレバー式に似た構造になっている。2つのガンギ車の歯は、互いのカップ状部で噛合。そして右側だけが、カナで駆動車と連結しているため、2つのガンギ車は互いに逆回転し、各歯先がインパルスロッカーを半振動ごとに左右から交互に作用するため、極めて優れた駆動効率が得られるのだ。また軽量なシリコン製であることも高効率化に寄与し、ロレックス初の3万6000振動/時のハイビートを実現した。

【ロレックス/オイスター パーペチュアル ランド ドゥエラー】外観は1960年代に試みたブレスレット統合型の再解釈。自動巻き。100m防水。径40㎜。Ptケース&ブレスレット。942万7000円。予価。今夏発売予定。

径40㎜。SS+18KWGケース&ブレスレット。225万5000円。予価。今夏発売予定。

径36㎜。18Kエバーローズゴールドケース&ブレスレット。1334万6300円。予価。今夏発売予定。

【ロレックス/オイスター パーペチュアル ランド ドゥエラー】外観は1960年代に試みたブレスレット統合型の再解釈。自動巻き。100m防水。径40㎜。Ptケース&ブレスレット。942万7000円。予価。今夏発売予定。
径40㎜。SS+18KWGケース&ブレスレット。225万5000円。予価。今夏発売予定。
径36㎜。18Kエバーローズゴールドケース&ブレスレット。1334万6300円。予価。今夏発売予定。

 

この新脱進機を初採用したのは、一昨年に登場した「1908」が積むキャリバー7140の進化系で、同機の振動数は2万8800振動/時だったが、いずれも駆動時間は同じ約66時間。新脱進機の効率のよさが窺える。

ロレックス 公式サイト

[時計Begin 2025 SUMMERの記事を再構成]

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