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2026.11.05
自動巻きはどれも同じじゃない! 知っておきたい巻き上げ機構の世界
【ホンモノの価値はココを見ろ! 時計選びの“審美眼”養成講座】
自動巻き
デザインの好みや直感、予算とのバランス、歴史への共感など、時計の魅力は十人十色。ただ、見どころを知ることで、時計が持つ真の凄みや価格の理由がより深く理解できる。本特集では、時計を構成する各要素の注目すべきポイントを、初心者にも分かりやすく解説。自分だけの確かな審美眼をしっかりと養い、運命の愛機を最高の手応えで選ぶ参考にしていただきたい。時計は、決して適当に選んではならないのだ。

着けていれば巻き上がり時計の動きを止めない
真に実用的な最初の自動巻き機構は、1780年にアブラアン-ルイ・ブレゲが発明したペルペチュエルであった。これは、分銅が左右に揺れる動きで香箱を巻き上げる仕組み。そしてロレックスが1931年に半円状のローターが全周回転するパーペチュアル機構を考案し、自動巻きは完成に至った。
前述したようにムーブメントの薄型化が図られる近年、ムーブメントの外側に重ねるセンターローター式に変わり、ブリッジに埋め込むマイクロローターやムーブメント外周でリング状のローターを回すペリフェラル式の採用例が増えてきた。いずれも高効率に巻き上げるには、優れた設計が不可欠だ。
また自動巻き機構には、ローターの一方の回転でしか巻き上がらない「片方向巻き上げ」と、いずれに回っても巻き上がる「両方向巻き上げ」が存在し、今は後者が主流。ローターの回転方向にかかわらず香箱を回せるよう変換する切り替え装置には、主にリバーサー、ラチェットのほかスイッチングロッカーの3種類が使われている。
CHECK POINT①
回転ローターのタイプは?
ムーブメントを薄くできる「マイクロローター」

ブリッジに埋め込める小さなローターだから、マイクロローター。スイスにかつてあった時計メーカー、ビューレンが先駆け、1954年に特許を取得した。センターローターよりはるかに小さく慣性モーメントが小さくなるため、ゴールドなどの比重が高い素材を用いる。

BVLGARI(ブルガリ)
オクト フィニッシモ

極薄自動巻きの“フィニッシモ”に径が3mm小さい37mmモデルが追加された。ムーブメントも新設計。そのCal.BVF 100は、径31×厚さ2.35mm。既存のCal.BVL 138より5.6mm小径化され、厚みはわずかに増したが、パワーリザーブを60時間から72時間へと大幅に伸ばした。自動巻き。径37mm。チタンケース&ブレスレット。262万9000円。
問い合わせ:ブルガリ ジャパン
ブルガリ公式サイト
ムーブメントを遮らない「ペリフェラルローター」

リング状のローターをムーブメントの外周で回す仕組み。1955年に考案されたが長く実用化に至らず、2008年にカール F.ブヘラが量産に成功した。ムーブメントにローターが重ならないので薄くできるが、全体の直径が大きくなる。
BREGUET(ブレゲ)
マリーン トゥールビヨン エクアシオン マルシャント 5887

トゥールビヨンの特許取得225周年記念モデルの1つ。同機構と永久カレンダー、均時差表示が備わる複雑モデルに蓄光エナメルの細密画でパリの夜空を描いた。太陽を象った針が、均時差表示。そのカムをトゥールビヨンに重ねた。限定25本。自動巻き。径43.9mm。Ptケース&ブレスレット。6237万円。
問い合わせ:ブレゲ ブティック銀座
ブレゲ公式サイト
CHECK POINT②
巻き上げの方法は?
生産性に優れた標準機構「リバーサー式」

ローターに噛み合う2つの伝え車が、異なる方向に回転し、二層構造の切り替え車(リバーサー)が回転方向に応じて一方の回転のみを伝達。香箱を一定方向に回す仕組み。主に歯車だけを用いるので、量産がしやすい。
RADO(ラドー)
キャプテンクック ハイテクセラミック クロノグラフ

ケースとブレスレットはメタルのような色と質感を持つ独自のプラズマハイテクセラミック製。針とインデックス、SSパーツをゴールドPVD加工し、華やかに装った。自動巻き。径43mm。セラミックケース&ブレスレット。101万3100円。
問い合わせ:ラドー/スウォッチ グループ ジャパン
ラドー公式サイト
NOMOS GLASHÜETTE(ノモス グラスヒュッテ)
タンジェント ネオマティック 38 アップデート

アイコニックなダイアルデザインを損なわぬよう、外周に設けた31のスリットを移動する2つの赤が数字を挟む日付表示機構を考案。修正時、前後に動かせるのも画期的だ。搭載するCal.DUW 6101は3.6mm厚の薄型自社製自動巻き。ケースも7.4mmと、かなり薄い。自動巻き。径38.5mm。SSケース。カーフストラップ。73万9200円。

問い合わせ:大沢商会
ノモス グラスヒュッテ公式サイト
巻き上げ効率に優れる「ラチェット式」
香箱の各穴車あるいは中間の伝達車を、一方向にしか噛み合わない鋸刃状のラチェットギアとし、それに接合するV字形の爪がローターの回転によって一方は歯を押し、他方は引くことで、同一方向に巻き上げる。
IWCはペラトン

ローターの中心に取り付けたカムに、二股のローラーを設置。カムの回転で凹凸が変化してローラーが載る土台が傾き、そこに取り付けた巻き上げ爪の一方を伝達車に接続。両方向で巻き上げる。
セイコーはマジックレバー

下側の写真の2つの歯車は右がローターと同軸にあり、左が香箱に伝達するラチェットギア。その間の二股の爪がローターの回転に応じて、一方がラチェットを回す。
[時計Begin 2026 AUTUMNの記事を再構成]
※表示価格は税込み