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2021.05.02
グッチ、カルティエ、ボーム &メルシエ etc. ’70年代テイストが今年のトレンド
『時計ライター髙木教雄が解説! 2021年新作時計レポート』Vol.4
髙木教雄(たかぎ・のりお)
1962年生まれ。1990年代半ばから時計を取材対象の1つとし、『時計Begin』をはじめとする時計専門誌やライフスタイル誌で執筆。
ファッション界では「トレンドは、繰り返される」が、定説である。時計もまたしかり。今年に入って発表された新作には、’70年代テイストのモデルが、いくつも見られた。当時、スイス時計界は、クォーツショックによる冬の時代。それを打破すべき、新たな試みが図られた。ロイヤル オークやノーチラスに代表されるラグジュアリー・スポーツウォッチも、この時代に生まれている。
グッチ
薄型ケースに一体型ブレスレットで装着感も抜群
1970年代テイストをグッチのクリエイティブ・ディレクター、アレッサンドロ・ミケーレは新コレクション「GUCCI 25H」へと落とし込んだ。彼はファッションでも、‘70年代、‘80年代のトレンドを巧みにアレンジしてきた。新コレクションのソリッドでフラットなクッション型のフォルムやブレスレットとケースとの一体化は、‘70年代に好まれた意匠である。3.7mm厚の薄型自動巻きキャリバー「GUCCI GG727.25.A」により、ケースが7.2mm厚とスリムなところも、当時のラグジュアリー・スポーツウォッチで提示されたスタイル。ミケーレは、そのケースに少し荒々しい横の筋目を入れ、ダイヤルにも太く深い横ストライプを施して力強さも持たせた。しかも初の自社製ムーブメントを搭載。グッチに加え、ジラール・ペルゴとユリス・ナルダンなどを傘下に置くケリングのラ・ショー・ド・フォンにあるマニュファクチュールで設計・製造されたムーブメントは、マイクロローターによる自動巻き。裏蓋側の6時位置にテンプだけが宙に浮いて時を刻んでいるかのような設計がユニークで、新コレクションをより魅力的なものとする。
ボーム &メルシエ
ラグスポのドレスコード+半透明文字盤が美しい
ボーム &メルシエは、1973年に生まれた12角形ベゼルを特徴とする「リビエラ」を一新した。最大の変更点は、12角形ベゼルとケース、そしてブレスレットを滑らかなラインでつなげた点。これはやはり‘70年代に多用されたスタイリングである。ベゼル4つのビスで固定され、ダイヤルは12と6のローマ数字が目を惹く。新生リビエラには、5日巻きで高精度、1500ガウスの高耐磁も誇る自社製ムーブメント、ボーマティック搭載モデルもラインナップ。半透明のブルースモークサファイアクリスタル製のダイヤルに、その姿をほのかに透かし、より強く個性を主張する。
カルティエ
2トーンダイヤル&小ぶりケースがレトロ調
別の回(Vol.3 https://www.tokeibegin.jp/news/27183/)で取り上げた、カルティエの「タンク マスト」も、実は‘70年代に生まれた「マスト ドゥ カルティエ」を再解釈して誕生した。そして当時のコレクションにあった、特別なダイヤルを「タンク ルイ カルティエ」の新作で、再現した。
サンレイ加工によるメタリックなシルバーにブルーを合わせた2トーンのダイヤルは、「タンク」の中で異彩を放つ。ブルーに重ねたローマ数字も小ぶりなゴールドカラーとし、アンティークな雰囲気を醸し出している。ケースと同じ角型のCal.1917 MCを搭載。機械的な魅力も高い。
グッチ「GUCCI 25H」/自動巻き。径40mm。SSケース&ブレスレット。30m防水。113万円(参考価格)。2021年秋展開予定。問い合わせ:グッチ ジャパン
ボーム&メルシエ「リビエラ Ref.10616」/自動巻き。径42mm。SSケース&ブレスレット。100m防水。41万8000円。問い合わせ:ボーム&メルシエ
カルティエ「タンク ルイ カルティエ」/手巻き。ケース33.7×25.5mm。18KPGケース。アリゲーターストラップ。日常生活防水。153万1200円。9月発売予定。問い合わせ:カルティエ カスタマー サービスセンター © Cartier