グランドセイコー、シチズン、カシオ、オリエント　2021年国産時計の買い！はコレだ

『時計ライター髙木教雄が解説！　2021年新作時計レポート』Vol.7

髙木教雄（たかぎ・のりお）
1962年生まれ。1990年代半ばから時計を取材対象の1つとし、『時計Begin』をはじめとする時計専門誌やライフスタイル誌で執筆。

オンラインによる新作時計発表会WATCHES & WONDERS GENEVAに参加したのは、すべて欧州のブランドだった。そして日本の主要４ブランドは、それぞれに独自の形で新作を披露。各社、実に興味深いモデルが出揃った。

シチズン

待望の新型機械式ムーブ搭載の上質なラグスポ登場

新型機械式ムーブメント搭載の「ザ・シチズン メカニカルモデル Cal.0200」。

まず時計関係者の耳目を大きく引いたのは、シチズンだった。なにしろ11年ぶりとなる、新機械式ムーブメントCal.0200が発表されたのだから。その開発にあたり、同社の設計陣は、機械式の原点に立ち返った。二番車を中心においてダイレクトに分針を動かし、三番車を介して四番車を６時位置に配置しスモールセコンドを動かす機械式ムーブメントの基本となる設計を採ったのである。この輪列構成は、名だたる時計メゾンが必ず１つは持つ。シンプルであるが故に壊れにくく、また操作性にも優れ、精度が出しやすいからだ。

Cal.0200は、テンプにマスロット式のフリースプラングを採用。脱進機は、メッキを積層する超精密成型技術LIGAで形作られ、理想的な形状と美しい鏡面を得ている。地板とブリッジは、傘下に収める高級ムーブメントの製造経験が長いスイスのラ・ジュー・ペレ社が担当し、優れた審美性をかなえている。それを搭載する「ザ・シチズン メカニカルモデル Cal.0200」は、ケースとブレスレットとを完璧に統合した、外装デザインも魅力的だ。

オリエント スター

国産初！のシリコン製ガンギ車採用で、駆動時間＆精度が抜群にアップ

国産時計では初めてムーブメントにシリコンパーツを採用した「オリエントスタースケルトン　RK-AZ0002S」。

今年、誕生70周年を迎えたオリエント スターは、既存のムーブメントを新技術で大きく進化させた。なんと脱進機のガンギ車を、シリコンで成型したのだ。日本製初となるシリコン製ガンギ車は、エプソンの高精細プリントヘッド製造にもつかわれているMEMS加工技術によってかなえられた。それをこれまで用いてきたスケルトンムーブメントCal.48E51に採用した最新の46系F8キャリバーF8B63は、駆動効率が飛躍的に高まり、かつ香箱も再設計されて駆動時間を50時間から70時間にまで伸ばしている。また精度も飛躍的に高まったという。スモールセコンドの背景に見えるシリコン製ガンギ車は、半導体成膜技術によってナノメートル単位で膜厚調整した酸化膜とアモルファス（非結晶）構造のポリシリコンの多層膜構造を形成した、鮮やかなブルーが実に美しい。

グランドセイコー

新型キャリバー搭載＆「日本の美」を写しとった文字盤も秀逸！

グランドセイコー「SLGH005」は、ダイヤル面の凹凸で光の具合でその表情が変わる。

世界的に売り上げが好調なグランドセイコー（GS）からは、昨年誕生した新型Cal.9SA5を搭載した、待望のレギュラーモデルが発表された。特殊な形状のガンギ車の刃先がテンプの振り座を直接打つ独自の構造で高効率化を実現したデュアルインパルス脱進機は、昨年の発表時、海外でも高く評価された。

それを初採用したCal.9SA5を積む新作「SLGH005」は、手彫りの金型により打ち出しで、ダイヤルに機械式GSが作られる岩手県雫石町の近くに広がる白樺林を凹凸模様で写し取り、静謐な日本の美が表現された。

カシオ

自分だけの配色も楽しめる！マルチカラーのフルメタルG-SHOCK

フルメタルでマルチカラーの「G-SHOCK　GMW-B5000TR」。

機械式ムーブメントを持たないカシオは、新素材で魅せる。初代G-SHOCK「DW-5000C」の外観をフルメタルモデルで再現した人気の「GMW-B5000」の新作は、日本製鉄と協業で開発した新チタン合金「Super-TIX20AFG」を初採用。純チタンの約２倍の硬度を持ち、SSのような美しいフルミラー仕上げがかなえられた。さらにIP技術を駆使。ケースはゴールドカラーとし、ブレスレットはこれに加えレッド、ブルー、ライトグレー、ダークグレーの各色をコマごとに持ち、マルチカラーのユニークな外観が実現された。各コマを入れ替えて自分だけの配色のマルチカラーを楽しむことができる。