2022.05.13

オメガ、タグ・ホイヤー、モンブラン、パネライetc.　ド級スペックから超絶ダイヤルまで、本格ダイバーズ豊作！の2022年新作

『時計ライター髙木教雄が解説！ 2022年新作時計レポート』Vol.4

髙木教雄（たかぎ・のりお）
1962年生まれ。1990年代半ばから時計を取材対象の1つとし、『時計Begin』をはじめとする時計専門誌やライフスタイル誌で執筆。

ダイバーズウォッチは、長く時計市場を牽引してきた存在である。近年、人気が高いのは、復刻を含めたレトロダイバーズ。しかし今年は、モダン系ダイバーズに注目すべき新作がいくつも登場している。

オメガ
6000ｍの水圧にも耐える高性能スチール

オメガの「シーマスタープラネットオーシャンウルトラディープ」も、その１つだ。6000ｍ防水という偉業ともいえるハイスペックを実現。こうした大深度潜水向けのダイバーズウォッチのほとんどは、浮上の際に減圧室で時計内部入り込むヘリウムガスのエスケープバルブが備わる。しかしオメガは、サファイアクリスタル風防の外縁を特殊な形状に加工し、ガスケットとの密着性を向上。エスケープバルブを不要としたのだ。

さらにオメガは、このモデルのために特別なスチール素材を開発した。窒素とマンガンを添加することで既存のSSより硬く、耐傷性に優れ、かつ白く輝く新たな高性能スチールで、名付けてO-MEGAスチール。深度6000ｍの、強烈な水圧に負けない屈強さを誇る。

タグ・ホイヤー
軽量なチタンを纏った1000ｍ防水ダイバーズ

タグ・ホイヤーも1000ｍ防水を誇る、新たな飽和潜水対応の「タグ・ホイヤーアクアレーサープロフェッショナル1000 スーパーダイバー」をリリースした。ケースとブレスレットは大深度潜水ダイバーズで多用されるチタン製で、ヘリウムガスエスケープバルブを装備。

ISOの飽和潜水ダイバーズウォッチ規格に準拠しながら、ケース厚を15.75mmに抑え、優れた装着感とエレガントな外観を実現している。さらに特筆すべきは、ムーブメント。読者には耳なじみであろう、ケニッシ社製をタグ・ホイヤーとして初採用したのだ。約70時間駆動でCOSCも取得。高性能な自動巻きは、海中でも実に頼もしい。

モンブラン
文字盤が美しいメゾン初の本格ダイバーズ

また意外だったのは、モンブランからの初のダイバーズウォッチのリリースである。その針とインデックスの形状は、傘下に置くミネルバがかつて製作していたミリタリーウォッチに似てレトロだが、全体の印象はかなりモダンだ。ブルーのダイヤルを海ではなく、氷河の下にある氷の湖に見立てたのが、モンブランらしさ。

氷の結晶に似た独特な質感は、金属の酸化・硫化層を重ねて研ぎ出すグラテ・ボワジという技法でかなえている。ISO6425規格に準拠した本格派。モンブランは、ダイバーズに本気に取り組んだ。

パネライ
ケース素材にリサイクルスティール採用

海と長くかかわってきたパネライのダイバーズウォッチ・コレクション「サブマーシブル」からは、既存の42mmと47mmケースの間を埋める新サイズ44mmが登場した。炭素系素材カーボテックとSSを主力とするが、注目したのはリサイクルスティールの独自のケース素材eスティール™製のモデル。同素材がサブマーシブルに使われるのはこれが初で、逆回転防止ベゼルのリンクには、やはりコレクション初となるポリッシュ仕上げのセラミックを採用する。