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2023.08.29
海の厄介ものがここまで美しく大変身! オリスのアップサイクル文字盤に注目
3色の漁網を使って海のような奥深い文字盤を実現

「アクイスデイト」。Ref.733 7730 4137。自動巻き。径43.5㎜。SSケース&ブレスレット。38万5000円。
オリスの代表するダイバーズウォッチ「アクイス」コレクション。その最新作には、かつてない美しいグリーンカラーの文字盤が採用されている。ダイバーズウォッチと関わりの深い美しい海の色を表現しているのは間違いないのだが、この文字盤の正体は「ゴーストネット」。つまり海に捨てられた漁網である。

ブレスネット創業者の2人。ベンジャミン・ウェンケ(左)、マドレーヌ・ヴォン・ホヘンタール(右)。
海に漂う海洋プラスチック。その大半を締めるのが、漁の途中で捨てられたりした漁網だという。その廃漁網は400〜500年もの間漂流を続けると言われており、放って置くことのできない深刻な問題。この海の「ゴミ」に目をつけたのが、まだ立ち上がって間もない社会的企業「ブレスネット」である。漁網をアップサイクルしてブレスレットなどのアクセサリーを製作。生まれ変わったゴーストネットを身につけることで、世界にその存在をアピールしている。

ハワイとカルフォルニアの間を漂う太平洋ゴミパッチ(GPGP)は、ドイツの4.5倍の面積があるという報告も。
この「ブレスネット」の活動と技術に共感したのが、オリス。同社はこれまで、さまざま環境活動に参加し、早くからサスティナビリティな社会を提案してきた時計ブランドとして知られている。3年間でカーボン排出量を10%削減するなど、自社内にも厳しい目標を設定している。

オリスのアクイスは本格ダイバーズコレクション。シースルーバックながら300m防水を実現している。
「ブレスネット」と「オリス」の共同製作で誕生した時計が、写真の最新作「アクイスデイト」だ。元々は廃漁網だったとは思えないほど美しいダイヤルが、なんとも印象的だ。グリーン、ブルー、ホワイトの3色の網をゆっくり溶かし、冷却。薄いプレート状にしたものを、厚さ3㎜まで研磨した文字盤は、同じ柄が2つとないという。

今回のコラボレーションモデルはケース径43.5㎜モデルの他に、写真のケース径36.5㎜のモデルもラインナップされる。38万5000円。
しかも使用する3色の網というのは、他の製品を作る際に生じた、無駄な切れ端を使っている。つまりリサイクル素材のリサイクル素材。2回アップサイクルして誕生する、究極のリサイクル文字盤と言えよう。接着剤や充填剤などの添加剤を一切加えていないことも、こだわりの一つ。誰も触ろうとしなかった海の「厄介者」も、高い技術と高い志があればここまで美しく生まれ変わることを、オリスは証明してみせた。
お問い合わせ:オリス公式サイト
文・構成/市塚忠義