2018.12.31

パテック フィリップの“ウチの薀蓄”「ウチのプラチナケースは隠しダイヤ入り!」

近年、ケースは多様に進化している。高性能な工作機械が造形の自由度を増し、より複雑な構造をも可能にしている。毎年のように新たな素材も登場。セラミック加工技術も革新を続けている。より美しく、より丈夫に。各社がケースに工夫を凝らす。

SS 、WGと差別化するためダイヤモンドが入っている

ストラップに隠れるPtケースの証
ケースサイドのラグ間にセットされた、Ptケースである証のダイヤモンドは、写真のようにストラップを強く下げなければ、見えない。時計の所有者だけが、見ることを許される特別仕様だと言えよう。もちろんダイヤの品質は、最上級。ダイヤの両サイドにあるのは、カレンダー調整のコレクター。

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複雑機構の日付表示に凝る
日付表示をレトログラードとした、永久カレンダー搭載モデル。鍛造によるPtケースは組織がつまり、ポリッシュでより強く白く輝く。ケース厚は11.19㎜と薄い設えで、複雑時計であってもドレッシィだ。自動巻き。径39.5㎜。Ptケース。アリゲーターストラップ。1174万円。お問い合わせ先:パテック フィリップ ジャパン・インフォメーションセンター

 

 

 

搭載するキャリバーは「324 S QR」

センターローターの薄型自動巻きがベース
ベースは、パテック フィリップでは珍しいセンターローターの自動巻きCal.324。これにレトログラード日付表示針付き永久カレンダーのモジュールを重ねながら、厚さは5.35㎜に抑えられている。ローターは21金製。パーツの仕上げはむろん最上級だ。毎時2万8800振動。パワーリザーブ約45時間。

さり気なくダイヤモンドで高いプレシャス感を誇る

時計のケースでPGやRG、YGの違いは、その色で見分けがつきやすい。しかしWGとPtとを一目で判別するには、よほどの経験が必要だろう。見た目にそれほど差がないのに、Ptケースが尊ばれるのは、純度の高さによる。WGケースは18金、つまり純度75%であるのに対し、Ptケースの純度は95%。しかもWGケースはロジウムメッキを施しているので、プレシャスな素材が直接肌に触れるという点も、Ptケースが貴ばれる理由だ。さり気なくダイヤモンドで高いプレシャス感を誇る

パテック フィリップは、そんな価値あるPtケースを、WGと明確に区別できるようにした。すべてのPtケースには、6時位置側のラグ間のサイドにラウンドダイヤモンドをセッティングしているのだ。とは言え、そのダイヤモンドは、普段はストラップに隠れて見えない。これ見よがしにプレシャス感を主張するのではなく、あくまでもさり気なく、というのが上品でパテック フィリップらしい。純度が高く、素材そのものが表層にあるPtは、ポリッシュ仕上げによりWGよりも白く輝く。パテック フィリップ一流の手仕上げは、その価値をさらに高める。

バックルもPt、インデックスはRG

微小な数字も完璧な手仕上げに
Pt製のバックルは、メゾンのロゴのカラトラバ十字を象る。

針と植字インデックスは、すべてRG製。非常に小さな日付インデックスも、完璧にポリッシュ仕上げされている。そのインデックスが光を受けて煌めいて、縦方向にサテン仕上げしたマットなダイヤルと対比を成し、優れた視認性が得られる。

<strong>微小な数字も完璧な手仕上げに</strong><br />Pt製のバックルは、メゾンのロゴのカラトラバ十字を象る。
針と植字インデックスは、すべてRG製。非常に小さな日付インデックスも、完璧にポリッシュ仕上げされている。そのインデックスが光を受けて煌めいて、縦方向にサテン仕上げしたマットなダイヤルと対比を成し、優れた視認性が得られる。

 

ラグの裏には刻印がテンコ盛り!

貴金属製であることを刻印で保証
4つのラグの裏には、それぞれ異なるホールマークが刻印される。こちらはズバリ、ケース素材を示す刻印。

スイスの貴金属のコモンホールマークで天秤とPtの純度を示す950の数字との組み合わせ。

パテック フィリップ製である証「PPCo.」の刻印。

スイスのナショナルホールマークで、セントバーナードの顔になっている。

<strong>貴金属製であることを刻印で保証</strong><br />4つのラグの裏には、それぞれ異なるホールマークが刻印される。こちらはズバリ、ケース素材を示す刻印。
スイスの貴金属のコモンホールマークで天秤とPtの純度を示す950の数字との組み合わせ。
パテック フィリップ製である証「PPCo.」の刻印。
スイスのナショナルホールマークで、セントバーナードの顔になっている。

 

[時計Begin 2018 AUTUMNの記事を再構成]
写真/小澤達也(Studio Mug)、岸田克法、谷口岳史 文/髙木教雄、岡崎隆奈