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2022.06.18
ロイヤル オークに学ぶ。名作は何を遺し何を変えるのか
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名作と呼ばれるものには、共通点がある。製品のコンセプトやデザインが、長い年月を経ても、大きく変わらないことだ。今年、50周年を迎えたオーデマ ピゲのロイヤル オークもまた、誕生から変わらない姿で、ファンの心を鷲掴みにする。それは誕生した瞬間に、ほぼ完璧な形だったからなのか、それとも後の賢者が、いたずらに手を加えなかったからなのか。最新ロイヤル オークで、細かく検証していこう。
文・構成/市塚忠義
ロイヤル オーク オートマティック
小振りになった定番色
グランドタペストリー模様にロイヤル オークの定番カラー「ナイトブルー、クラウド50」を採用した37mmの3針モデル。新キャリバー5900は、パワーリザーブが約60時間にアップしている。5気圧防水。自動巻き。径37mm。SSケース&ブレスレット。280万5000円。
ロイヤル オーク クロノグラフ
自社製キャリバー搭載
CODE 11.59のクロノグラフが搭載する自社製キャリバー4401をロイヤル オークに搭載。特製の「50周年記念ローター」を採用。新作のクロノグラフは、この41㎜と38㎜の2種を用意。5気圧防水。自動巻き。径41㎜。18KPGケース&ブレスレット。830万5000円。
デザインはたったの一晩!
これだけの名作となれば、長時間考え抜いて生み出されたと思いきや、デザイナーのジェラルド・ジェンタが費やした時間はたったの一晩。ホテルの一室で描き上げたと明かした。
ゴールドより高いSSモデル
初代の価格は3300スイスフラン。当時のSSモデルの最高額で、広告でもそれをアピール。ゴールド時計が3000スイスフラン程度だった時代、いかに異例だったかがわかる。
最初から1000本発注
1970年代、同社のモデルの中でケースメーカーに100本以上を発注するモデルは全体の10%ほど。ほとんどが10本以下であった時代に、異例の1000本発注を行っている。
名作モデルには、決して手をつけてはならない聖域がある。ロイヤル オークにも、初代から守り続けているDNAがある。
初代の絶妙なブルーを再現
初代モデルが採用した「ナイトブルー、クラウド50」は、かつてジュネーブのダイヤルメーカー、スターン・フレール社が採用した色見本。ダイヤル用のラッカー液に、黒(n°50)の色素を数滴たらすと、紅茶にたらしたミルクのごとく雲が広がるように見えたことからクラウド(雲)と呼ばれるように。現在は、PVD(蒸着)で色づけしている。
光の反射を生むダイヤルの凹凸
立体的な台形を規則正しく組み合わせたタペストリー模様。数多くの「面」を持つことで、さまざまな方向に光を反射させることを目的に考案された。1998年、それまでのプチタペストリーに変わるグランドタペストリーが開発され、四角の間隔がゆったりとした。ジャンボにおいては、その数が700個から380個に変更されている。
時計の輪郭を際立たせる磨きの技法
ロイヤル オークに備わる8角形のベゼル、6角形の8個のビス、そしてトノー形のケース。これらの最もアイコニックな特徴を、最大限に際立たせているのが、ケースの磨き方である。ベゼルとケース外周、そしてビスにポリッシュ仕上げを施すことで輪郭をハッキリとさせ、フラットな面のサテン仕上げが、シャープさをより強調している。
基本の姿は変えずに
細かい仕様を進化させる
ロイヤル オークには、初代から受け継がれる仕様がいくつか存在する。新作にラインナップされるダイヤルカラー「ナイトブルー、クラウド50」は、1972年の初代に忠実な色。組み合わせるギヨシェ加工のタペストリー模様も、長く採用されてきた技法だ。またケースの表面を、艶のあるポリッシュ仕上げと、筋目の入るサテン仕上げで磨き分けるのも、昔からの伝統。
一見、変化がないように見える新作だが、目を凝らしてみると、絶妙な進化が確認できる。ポイントは5つ。①以前は、アプライドの“AP”とプリントの組み合わせだったロゴは、全てアプライドに変更。②ケースのエッジ部分、ベヴェリングの面積が広げられ、仕上げの違いが明確になった。③ダイヤル外周にフチをつけて刻んでいた分表示目盛りを、タペストリー模様の上に直接プリントし、ダイヤルがより大きく見えるように。④ケースラグの形状が、横から見たときに長方形から台形になり、下に向かって細身にシェイプしている。⑤均一だったブレスレットの厚さは、ラグの傾斜角度に合わせ次第に薄くなるデザインを採用。
他にも、これまでコレクションで比率が変わっていたアワーマーカーの長さを、コレクションを通して統一するなどの試みが。そして何より、ファンにはたまらない新ディテールが、新作モデルに共通する今年限定のスペシャル仕様「50周年記念ローター」であろう。
今年50歳になった“ラグスポ”の元祖。その渋さに、増々磨きがかかった。
ミリ単位の仕事で、ロイヤル オークは進化を遂げていく。
これらの変化を把握することも、名作の楽しみ方のひとつである。
プリントからアプライドに
12時位置にあった大きなAPロゴは廃止に。その代わりに、これまでプリントであったA UDEMARS PIGUETのロゴは、24Kゴールド製のアプライドロゴに変更されている。文字盤がスッキリし、より高級感が増した。
ほんのわずかに幅を広げる
通常のラウンド形の場合、ケースとベルトをつなぐラグにあたる部分。フラットな面と面に、角度をつけて面取りされたベヴェリングの幅が広くなり、全体に占める面積も大きくなった。これにより、ケースの輪郭をより強調。
立体的な模様をダイヤルの際まで
これまでのモデルは、分と秒を示すインデックスが色のトーンを変えたダイヤル外周のフチの上にプリントされていた。新作のモデルでは、タペストリー模様がダイヤルの際まで伸ばされ、その上に直接プリントされている。
ブレスに向かって細くなるラグ
ラグの傾斜角は、ほとんど変化していないが、横から見たときに、そのラインが、2本の線が平行な長方形から、次第に細くなっていく台形に変わっていることがわかる。ブレスレットの可動域の向上にも貢献している。
ラグ同様にブレスも薄く
下に向かい薄くなるラグの角度とぴったり合うように、ブレスレットもバックルに向かって次第に薄くなっていく。ブレスレットを構成するパーツのひとつひとつのサイズが異なってくるため、コストがかかる仕様である。
珍しいロイヤル オークを見たいなら銀座へ
オーデマ ピゲの銀座ブティックで、2022年末までレアなロイヤル オークを展示したイベント「こんなロイヤル オーク、見たことない」を開催。
期間:〜2022年12月末予定
会場:オーデマ ピゲ ブティック 銀座 地下1階 東京都中央区銀座6-5-13
開場時間:12:00〜19:00(最終入場18:30)
入場料:無料 ☎︎03-6830-0789
予約はこちらから
商品の問い合わせ/オーデマ ピゲ ジャパン☎︎03-6830-0000
https://www.audemarspiguet.com/com/ja/home.html