2018.04.23

次なる時計師を育成するヤング・タレント・コンペティション2018とは?

F.P.ジュルヌも応援!授賞式が開催された!

才能ある次世代の時計師を発掘し、育成するプログラム、ヤング・タレント・コンペティション2018の受賞者3名がジュネーブのSIHH開催中に発表された。FHH(高級時計財団)の支援によって、2015年よりスタートし、今年が3度目となるこのアワードは世界14ヵ国、47の時計学校の生徒を対象としている。

 今回のプレゼンターはF.P.ジュルヌ氏。「現代のブレゲ」と称される稀代の天才時計師も、わずか14歳で地元マルセイユの時計学校に入学し、卒業後はパリにいたアンティーク時計修復師の叔父の工房に修業に出た経歴をもつ。そこで目にした修復中のブレゲのメカニズムに心酔し、研究に没頭、弱冠20歳で独自のトゥールビヨン機構を開発、時計業界を驚かせた。1987年には独立時計師アカデミー入りを果たし、1999年には自らの名前を冠した時計ブランドを立ち上げる。そんな天才時計師も、歩んできた道は決して平坦ではなかった。

 今回、授賞したのはフランス人2名とスイス人1名の若き時計師たち。この日、プレゼンターであるジュルヌ氏の目に映った彼らは、若き日の自分とダブったのではなかろうか。

未来を担う若手時計師


審査員はフィリップ・デュフォー 氏、ジュリオ・パピ氏、フランソワ-ポール・ジュルヌ氏ら時計業界のキーパーソン8名。製作技術、複雑機構の研究、デザインや美しさが審査の基準となる。3名の受賞者にはディプロマと賞金1000スイスフランが授与された。

受賞した若手時計師と時計

Charles Routhier(シャルル・ルティエ)/フランス、モルトー出身。24歳。「学校の創立30周年を記念して時計を製作しました。天体の動きとハレー彗星の動きにインスピレーションを受け製作し、文字盤から見えるテンプ受けを彗星に見立てることで、詩的な時計が仕上がりました」

Rémy Cools(レミ・クール)/フランス、モルトー出身。20歳。「この時計にはオフセンターディスプレイとマリンクロノメーターに触発された傾斜運動システムが搭載されています。これは全ての角度からの動きを見るために時計を様々な方向に傾けることを可能にします」

Théo Auffret(テオ・オフレ)/スイス、ブードリー出身。22歳。「アンティークウォッチの美しさが常に私の頭にあります。この時計は完成まで2年3ヵ月掛かり、全てハンドメイドです。一部の部品は1920年代のジャガー・ルクルトのパーツを使用しています」