シャネル「J12」、オーデマ ピゲ「ロイヤル オーク」もついに！　2021年新作時計、トレンド・カラーは？

『時計ライター髙木教雄が解説！　2021年新作時計レポート』Vol.５

髙木教雄（たかぎ・のりお）
1962年生まれ。1990年代半ばから時計を取材対象の1つとし、『時計Begin』をはじめとする時計専門誌やライフスタイル誌で執筆。

ファッションとの結びつきを年々強めている時計界に、これまであまり明確には形成されてこなかったトレンドが顕著に感じられるようになってきた。とりわけはっきりトレンドと言い切れるのは、ダイヤルカラー。近年多用されるグリーンは、今年も多くの新作で採用された。

グラスヒュッテ・オリジナル

アウトドアウォッチのラグジュアリー版！？

グラスヒュッテ・オリジナルは、1969年製ダイバーズの復刻モデル「SeaQ」に、初のグリーンダイヤル＆ベゼルを導入した。

その深い色合いは、葦草をイメージしたという。そしてプレスリリースには「山で過ごす長い週末から近場の湖までのちょっとしたお出かけなど」との一文が。つまりダイバーズウォッチ＝海ではなく、幅広いアウトドアウォッチとして認識させることを新色グリーンでもくろんでいるのが、ユニークである。

オーデマ ピゲ

上質＆表情豊かな初のグリーン＆サンバースト仕上げダイヤル

オーデマ ピゲを代表するラグジュアリー・スポーツウォッチの始祖「ロイヤル オーク“ジャンボ”エクストラ シン」までもが、グリーンに装ったのは、予想外であった。しかも1972年誕生の初代から受け継ぐグランドタペストリー装飾ではなく、サンバースト加工を初めて採用し、グラデーションに仕立てているのも新鮮。

グラデーションも近年、数多く用いられるトレンドの１つ。今年もさまざまなグラデーションが、他社にも見られた。その中にあって、ジュウ渓谷の名門によるスモークグリーンは、色変わりしてゆく様子が、実に自然でエレガント。カジュアルに偏りがちなグリーンを高級時計にふさわしい、上質な色調に昇華させている。外装は、プラチナ製。ダイヤルの色と仕上げとともに、特別感は極めて高い。

こちらのモデルは、「AP HOUSE」のみでの取り扱いとなる。世界数か所に存在する「AP HOUSE」は、アジアでは2018年に香港で初オープン。オーデマ ピゲの愛好家にとって第二の我が家になるようにと設計された寛ぎの空間で、日本にもその開設を望む愛好家は多いことだろう。

シャネル

12色のネオンカラーをシックにまとめたJ12登場

ベゼルとインデックスでネオンカラーを表現した「J12 エレクトロ ドリーム」。世界限定55本。

色が虹のように順に変化してゆくレインボーカラーも、数年来トレンドを形成している。その多くはベゼルで試みられ、チタンやアルミの陽極酸化処理、あるいは色違いの宝石をセッティングして、レインボーカラーが生み出されてきた。シャネルは今年、46色ものカラーサファイアを「J12」のベゼルにセットして色変わりするネオンカラーを表現した「J12 エレクトロ ドリーム」を発表。ダイヤルのインデックスも12色のサファイアとした超高額のジュエリーウォッチである。

「J12 エレクトロ」は、世界限定1255本。

それと並んで、ダイヤルとベゼルの各インデックスを色違いのネオンカラーで仕立てた、手が届きやすい「J12 エレクトロ」も登場。元来は派手派手しいはずの12色のネオンカラーを、黒に溶け込むように絶妙なアクセントとしているのが見事。ブラックのJ12が、少し華やかにおめかしをした。