2023.07.31

「イチバン時計物語vol.2」世界トップクラスのスペック “薄い””忙しい””回りまくる”

 

世界トップクラスのスペック

もっとも〇△▢な時計といえば……

ブランドが自社の技術力をアピールするため、しのぎを削って次々にリリースしている高機能モデル。ロングパワーリザーブに始まり防水深度、耐磁、高精度、それに最薄など、その種類は実に豊富。そこで、注目すべきトップクラスのスペックに絞って各カテゴリーの最高峰をピックアップ。これさえ着けておけば腕元バトルで負け知らずのユニークピースは、チェックするだけでもトクした気分!

④もっともダイエットした時計といえば……

\手巻きで厚さ1.75mm

【リシャール・ミル RM UP-01 フェラーリ】エクストリームウォッチのトップランナーとレーシング界の名門がタッグを組んだ話題作。何年にも及ぶ研究と6000時間以上もの開発&テストを経て2021年デビュー。超薄く軽量にして実用的なタフさも兼備する。150本という少なくない限定数も同社の開発力を物語る。チタンケース。51×39mm。手巻きキャリバーRMUP-01(パワーリザーブ45時間)。10m防水。2億6180万円。

メタリックなケースはネジ留めスタイルと相まって、スパルタンな雰囲気。しかし一転、真横からの眺めは、時計というより「線」がかろうじて見えるだけの薄さ。もちろん着け心地は軽やか至極!

【リシャール・ミル RM UP-01 フェラーリ】エクストリームウォッチのトップランナーとレーシング界の名門がタッグを組んだ話題作。何年にも及ぶ研究と6000時間以上もの開発&テストを経て2021年デビュー。超薄く軽量にして実用的なタフさも兼備する。150本という少なくない限定数も同社の開発力を物語る。チタンケース。51×39mm。手巻きキャリバーRMUP-01(パワーリザーブ45時間)。10m防水。2億6180万円。
メタリックなケースはネジ留めスタイルと相まって、スパルタンな雰囲気。しかし一転、真横からの眺めは、時計というより「線」がかろうじて見えるだけの薄さ。もちろん着け心地は軽やか至極!

 

お問い合わせ:リシャール・ミル公式サイト

 

\自動巻きで厚さ2.23mm

【ブルガリ オクト フィニッシモ】超薄型のムーブメントを仕込んだオクト フィニッシモ オートマティックは、その完成度の高さで2017年のバーゼルフェアに出品され見事GPHG賞を獲得。ちなみにフィニッシモは、それまでにもミニッツリピーターやトゥールビヨンモデル等でも同賞をさらっている。チタンケース。径40mm。自動巻きキャリバーBVL138(パワーリザーブ60時間)。30m防水。233万2000円。

シースルーのケースバックからはコートドジュネーブ装飾がきらびやかなcal.BVL138の観賞が可能。回転効率を考慮し、マイクロローターは比重が重く高価なプラチナ製が奢られている。

【ブルガリ オクト フィニッシモ】超薄型のムーブメントを仕込んだオクト フィニッシモ オートマティックは、その完成度の高さで2017年のバーゼルフェアに出品され見事GPHG賞を獲得。ちなみにフィニッシモは、それまでにもミニッツリピーターやトゥールビヨンモデル等でも同賞をさらっている。チタンケース。径40mm。自動巻きキャリバーBVL138(パワーリザーブ60時間)。30m防水。233万2000円。
シースルーのケースバックからはコートドジュネーブ装飾がきらびやかなcal.BVL138の観賞が可能。回転効率を考慮し、マイクロローターは比重が重く高価なプラチナ製が奢られている。

 

お問い合わせ:ブルガリ公式サイト

“贅肉”を極限まで絞れるのは確かな技術あればこそ

「薄軽」は機械式時計が追求し続けてきた長年の課題のひとつ。その極点がリシャール・ミルのRM UP-01 フェラーリだ。正面からは幅5㎝オーバーとワイドに見えるものの、ケースの厚さはなんと驚愕の1.75mm。特筆すべきは極力時計パーツを重ねずケース内に分散させる設計法。輪列の歯車自体をそれぞれ時分針に見立てるなどの結果、カミソリ刃のごとき痩身フォルムを獲得。本体重量もわずか11.2gながら、5000Gの加速度に耐えるタフさを兼備している。対して自動巻きモデルの世界的ダイエッターがブルガリのこちら。手巻きムーブメントのBVL127をベースにプラチナ製マイクロローターを仕込んだ新造のBVL138は、ムーブ厚たったの2.23ミリ。それによりネジ留め式2ピースケースの厚みも5.15ミリに抑えることが叶っている。さすがはファッションブランドのドレスウォッチ。古代ローマ建築から想を得た八角形を取り込んだ多重デザインは素晴らしく、痩身ながらエレガントな気品をしっかりキープした仕上がりなのだ。

 

⑤もっとも忙しい時計といえば……

\毎時28万8000振動

【フレデリック・コンスタント スリムライン モノリシック マニュファクチュール】世界初となる毎時28万8000振動/時という驚異の高振動で駆動するシリコン製オシレーターを搭載。ブランドテーマ「手の届くラグジュアリー」を掲げる同ブランドにおける新機軸として広く話題に。SSケース。径40mm。自動巻きキャリバーFC-810(パワーリザーブ80時間)。30m防水。66万円。世界限定810本。

この円盤パーツがモノリシックオシレーター。1時間に28万8000回の振動をわずか6度の角度で往復するため(一般的なテンワは約300度)、脱進音もまったくの別モノ。

【フレデリック・コンスタント スリムライン モノリシック マニュファクチュール】世界初となる毎時28万8000振動/時という驚異の高振動で駆動するシリコン製オシレーターを搭載。ブランドテーマ「手の届くラグジュアリー」を掲げる同ブランドにおける新機軸として広く話題に。SSケース。径40mm。自動巻きキャリバーFC-810(パワーリザーブ80時間)。30m防水。66万円。世界限定810本。
この円盤パーツがモノリシックオシレーター。1時間に28万8000回の振動をわずか6度の角度で往復するため(一般的なテンワは約300度)、脱進音もまったくの別モノ。

 

一体型シリコン脱進機で10倍の振動を実現

一般的にテンプの振動数は多いほうが外乱に強く、時計精度が維持しやすいとされている。しかし振動数を上げると摩耗の問題が出るため、一概に高振動モデルが良い時計とは言いがたい。そこで外乱にも比較的強く、摩耗もほどほどに収まる2万8800振動/時のムーブメントが現在の主流となっている。しかしフレデリック・コンスタントでは一気にその10倍にあたる28万8000振動/時の超高振動ムーブメントを完成させた。高振動を可能としているのはシリコン製オシレーター(振動子)の存在。主ゼンマイのトルクを受け、ガンギ車が回転しアンクルのツメにて調速をコントロールする流れは、従来のスイスレバーと同様。しかしモノリシックオシレーターの場合は、往復回転するテンワの代わりにシリコンの円盤が小刻みに振動することで調速を実現。最大のポイントはスイスレバーが26もの部品を持つのに対し、モノリシックオシレーターは一体型のシリコンパーツであること。これにより高精度にして優れた耐磁性、そして注油不要にして脱進機の長期における信頼性向上まで実現させているという。まさに夢のムーブメントなのである。

お問い合わせ:フレデリック・コンスタント公式サイト

 

⑥もっとも回るトゥールビヨン時計といえば……

\5秒で1回転

【フランク ミュラー サンダーボルト トゥールビヨン 】「ギガ トゥールビヨン」など魅せる複雑機構を得意とするフランク ミュラーが改めて精度向上まで意図した特殊トゥールビヨンを完成。18KPGケース。55.05×40.65mm。手巻きキャリバー2025T(パワーリザーブ約48時間)。4290万円。

“固定ガンギ”という斬新手法で高速化に成功

機械式時計における複雑機構の“華”と言える存在が、脱進機を入れ込んだケージごと回転させてしまうトゥールビヨンだ。「マスター オブ コンプリケーション」の異名をとるフランク ミュラーでは、1980年代から複雑機構の先駆者として、永久カレンダー トゥールビヨンなど数々の名作トゥールビヨンモデルを発表してきた。なかでもユニークなのが2013年にリリースしたサンダーボルト トゥールビヨン。通常1分間に1回転させるのがトゥールビヨンの定番だが、本作ではトゥールビヨン機構の外縁部に、内向きにガンギ歯を備えた歯車を固定し、その内側でケージのアンクルの爪石が固定ガンギ歯を弾くことで、回転数を飛躍的に上げるという構造を開発。なんと1分間に12回転する脱進機“5秒間トゥールビヨン”が完成してしまったのである。通常、トゥールビヨンの観賞となるとケージのひと回転、つまり一分間掛けじっくりと凝視しがちだが、本作なら5秒でOK。まさに時短時代のトゥールビヨンと呼べる名作なのだ。

お問い合わせ:フランク ミュラー公式サイト

その他のイチバン時計物語はコチラ

※今特集は編集部でリサーチした結果です。さらなるハイスペック、歴史を持つ時計の情報がありましたら、時計Begin Webまでご連絡ください。

文/長谷川 剛(TRS)