2023.10.05

ラッキーが現われほどけていく複雑小粋な輪廻時計! シャルル・ジラルディエのマジック8「動画で魅せる時計図鑑」

幸運の8が現われては儚く消えていく

シャルル・ジラルディエ「マジック8」

2分で1周する8に構造も気持ちもフクザツ!?

時計は時報装置でありながら「時」という目に見えない摩訶不思議を実感させることができる特殊なアイテムだ。そういう意味でシャルル・ジラルディエのマジック8は象徴的なタイムピースと言える。ポケットウォッチ時代に隆盛をみたグラン・フー・エナメルを文字盤に使用しており、今では失われつつあるその職人技術は、滴るような艶感がひとつの特徴。貴族的とも言える美しさを放ち、見る者に時代の流れを感じさせずにはおかない。そして動きの面で特筆すべきが、このスモールセコンド風に回転運動を続ける2本のハンドにある。ハンドと言っても一般的な直線造形でなく、非対称の2つの曲線体が同軸かつ、それぞれ相反して回転するユニークな仕掛け。時に絡みつくように、そして時に「8」の字を完成させる動きは、ある種の感興を湧き興すもの。日本でも同様だが「8」は全世界的にラッキナンバーであり、その幸運が盤面上に現われては儚く消えていく。それはまるで方丈記の冒頭のようでもある。「澱みに浮かぶ泡沫は、かつ消えかつ結びて、久しく留まりたるためしなし」。こもごもな感情を引きだすという意味では、これもまたフクザツ時計のひとつと言える。

 

スイスの高級時計メゾンが2023年5月にリリースした新感覚の時計。美麗な艶を放つグラン・フー文字盤は、800℃を超す高音窯にて焼き上げる本格的な焼成エナメル式。その盤上に時分針に加えユニークな「秒針」が踊る趣向。相反する動きの「秒針」は、120秒に一回「8」の形を見せる。つまり一日に720回ラッキーが訪れる仕掛け。チタンケース。径41mm。自動巻きcal.CG8080(パワーリザーブ44時間)搭載。3気圧防水。640万2000円。

 

一般的なスモールセコンドではなく、時の流れを複雑曲線で描くというスタイルが非常に洒落ている。相反して回転する針は、120秒に一回だけ「8」の字のフォルムを描き出す。

シースルーバックからは独自の自動巻きムーブメントがのぞく。ユニークな外周式ローターを採用しており、テンプの振動をはじめ機械の様子がローターに阻まれずしっかり観察可能。

ケースには軽量で剛性に優れたグレード5の高級チタンを採用。グラン・フー・エナメル文字盤などクラシックな構成にして先進素材をケースに用いるところもユニーク。軽く装着感は抜群。

 

<ブランド解説>

ジュネーブ出身のパトリック・A・ウルムにより2018年に設立された独立時計メゾン。19世紀に活躍した時計師、シャルル・ジラルディエ・レーヌの懐中時計に出会ったウルムが、その卓越した技術や個性溢れるスタイルに感銘を受け、現代的に解釈し製作した腕時計が揃う。

お問い合わせ:DKSHマーケットエクスパンションサービスジャパン株式会社 cg.csc1@dksh.com

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動画撮影/岸田克法 文/長谷川 剛(TRS)