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2026.09.18
IWC シャフハウゼンから「インヂュニアSL」の50周年を記念した限定モデル!
かつて存在したレア仕様、サテン仕上げのシルバーメッキダイアルをオマージュ

「インヂュニア・オートマティック 40 “50th Anniversary”」 (Ref. IW328910)。自動巻き。径40㎜。SSケース&ブレスレット。10気圧防水。233万2000円。
IWC シャフハウゼンのタフウォッチの象徴、インヂュニア。ドイツ語で「エンジニア」を意味するインヂュニアは、1955年に初代Ref.666ADが誕生した。この時計は、戦後復興にも貢献した技術者達に向けた8万A /mという「耐磁機能」が最大の特徴であった。
現在、インヂュニアという時計のイメージは、ファンによって異なる。相変わらず硬派な耐磁時計という人もいれば、ラグジュアリーウォッチやスポーツウォッチの代表格だと感じている人もいるだろう。
初代インヂュニアは特殊な技術的な時計であった。ではその時計に、今でいう“ラグスポ”のイメージを加えたのは誰なのか。それは紛れもなく時計デザイナーでありアーティストであったジェラルド・ジェンタである。

1976年、IWCはクオーツショックで低迷するスイス高級時計の再起をかけて「インヂュニア SL」を発表する。このとき抜擢された時計デザイナーがジェラルド・ジェンタである。実用第一で武骨なインヂュニアに、奇才ジェラルド・ジェンタは魔法をかけた。
8万A /mという超耐磁機能はキープしつつ、薄型ケースに一体型ブレスレット、そしてベゼルにはお約束のビスをセットして、完全にラグジュアリーな姿へと生まれ変わったのだ。ちなみに「インヂュニアSL」の「SL」には、スティール・ラグジュアリーやスポーツ・ラインなどが当てはまるが、実際に何の略だったかは不明である。
いま見ても抜群にカッコイイ「インヂュニアSL」。当時も爆発的なヒットを記録したかと思いきや、商業的な成功とは程遠い結果となった。1976年から1983年にかけて製造されたのは、わずか598本。いくつか原因は考えられるが、その一つは時計の大きさにあった。

インヂュニアのスペシャル動画はコチラ!
IWCの愛好家であれば「インヂュニア SL」に、有名な愛称があるのをご存知だろう。通称“ジャンボ”。今では小さい時計に分類されるケース径40㎜も当時の時計としてはかなり大きく、すぐに受け入れられることはなかったのだ。
しかし、その真の価値を目利きの時計ファンが見逃すわけはなく、その後「インヂュニア SL」はコアな時計ファンから熱狂的な支持を集め、現在では完全なコレクターズ・アイテムとして、傑作時計の殿堂入りを果たしている。

「インヂュニア・オートマティック 35 “50th Anniversary”」(Ref. IW324909)。自動巻き。径35㎜。SSケース&ブレスレット。10気圧防水。202万9500円。
そんな伝説の「インヂュニア SL」から50年。IWCはこの記念すべき節目の年に、2つの特別な限定モデルを発表した。それが「インヂュニア・オートマティック 40 “50th Anniversary”」 (Ref. IW328910)と「インヂュニア・オートマティック 35 “50th Anniversary”」(Ref. IW324909)だ。
インヂュニアの現行コレクションは、2023年のWatches and Wonders Genevaで誕生した。そのリニューアルの時、新生インヂュニアのデザインに大きな影響を与えたのも「インヂュニア SL」であった。
この最新作の限定モデルは、現行の3針インヂュニアをベースとしているが、どこが通常モデルを違うのか。それはダイアルの仕様である。通常のオートマティック3針モデルのダイアルには、「インヂュニア SL」から受け継いだ特徴的なグリッドパターンが施されている。

一方、新作の限定モデルは、40㎜モデルも35㎜モデルも、縦の筋目を強調したサテン仕上げのシルバーメッキダイアルが採用されている。1970年代の「インヂュニア SL(Ref.1832)」は、グリッドパターンのダイアルで有名だが、実はこのサテン仕上げのシルバーダイアルもバリエーションとして発表していた。
このシンプルに徹したダイアルによって、もともとインヂュニアに備わる無機質でソリッドなイメージが、さらに加速している。なお、6時位置の「INGENIEUR」ロゴと稲妻マークの下に50周年を記念した「50」の文字が刻まれている点にも注目したい。

搭載するムーブメントは、40㎜モデル(写真左)が自動巻きのキャリバー32111。パワーリザーブは約120時間で、耐磁性軟鉄インナーケースを備えたソリッドケースバックを採用する。35㎜モデル(写真右)が搭載するのは、自動巻きのキャリバー47110。こちらのパワーリザーブは約42時間で、ソリッドケースバックではなく、シースルーバックを採用する。なお限定本数は、それぞれ1150本となる。

今回の限定インヂュニア発表にあたり、ジェラルド・ジェンタの娘(写真左、右はジェラルド・ジェンタの妻エヴリン・ジェンタ)であり、ジェラルド・ジェンタ・ヘリテージ協会の共同創設者であるアレクシア・ジェンタは「父が『インヂュニア SL』を作ってから50年が経ちますが、彼の作品が何十年も経った今でも、これほど多くの人々にインスピレーションを与え続けていることに驚かされます。IWCが彼の芸術的遺産を大切に受け継ぎながら、新たなインヂュニアを通じてその象徴的なデザインをさらに発展させていることを光栄に思います」と語っている。
問い合わせ/IWC シャフハウゼン公式サイト
文/市塚忠義