2023.06.27

着けて納得インプレッション!  今年のパネライは「ラジオミール」ラッシュ

歴代最小サイズからビンテージ加工ケースまで

40㎜のケース径だけでなく、ケース厚10.15㎜もパネライ史上、最も薄い仕上がり。

今年のパネライ新作は、ブランドの原点でありDNAでもある「ラジオミール」コレクションが炸裂。個性豊かなラインナップが加わった。注目したいトピックは2つ。サイズ感とケースの素材(質感)だ。

これまでラジミールは、「大型ウォッチのパイオニア」を代表するモデルとして、オリジナル同様の47㎜径、そして45㎜径のモデルを中心に展開してきた。ここに紹介する新作「ラジオミール クアランタ ゴールドテック™️」のケース径は40㎜。クアランタとはイタリア語で「40」を意味し、ラジオミール史上最小サイズのモデルとなる。

「ラジオミール クアランタ ゴールドテック™️」。PAM01026。自動巻き。径40㎜。ゴールドテック™️ケース。アリゲーターストラップ。242万4400円。

この小ぶりなラジオミールを心待ちにしていたファンは、多かったのではないだろうか。もちろん、コアなパネリスティは、相変わらずオリジナルの大型サイズを支持するだろう。しかし、シンプルなラジオミールのクッションケースが、小型化したことでかつてないスタイリッシュさを手に入れたことは確実だ。ラジオミールの特徴として外に大きく張り出したリューズが挙げられるが、手首のサイズ感にフィットしていないと、このリューズが手の甲に食い込むことが、稀にある。40㎜のラジオミールなら、その辺りの心配は無用だ。

ブラウン色のビンテージモデルを展開するブランドは多いが、ブルーのビンテージテイストは珍しい。

続いて、素材。素材に加えて、そのケースの表面の仕上げにも注目してほしい。新作「ラジオミール オットジョルニ」のケース素材は、リサイクルスティール(最大95%)を採用したパネライ独自のeスティール™️。この素材自体は、すでに製品化されているものだが、そのサスティナビリティなラジオミールケースにビンテージ感漂う表面加工が施されている。

「ラジオミール オット ジョルニ」。PAM01348。手巻き。径45㎜。eスティール™️ケース。レザーストラップ。129万3600円。

ダイヤルの凹凸のある質感と絶妙にマッチするこのビンテージ加工は、eスティールケースにPVDによって薄い皮膜を形成させ、その後に手作業によって長年使い込んだような風合いを加えた。そのため、この「筋目」には、同じものが2つとない。自力でSSケースをここまでエイジングさせ、ダイヤルにも焼けたような変化をもたらすには、正直なところ何年かけても実現できるかは、微妙だ。新品購入と同時に、このビンテージ感が楽しめるのは、パネライならでは。

くり抜かれたインデックスのカラーと針の色がエレガントにマッチ。

最後に、ダイヤルカラーの美しいモデルを1本。昨年末に「ラジオミール オリジネ」として誕生したコレクションが「ラジオミール トレ ジョルニ」と名前を変え、新しいダイヤルカラーが追加された。「トレ ジョルニ」とはイタリア後で「3日間」。つまり3日間巻きのムーブメントを搭載している。ちなみに先に紹介した「オット ジョルニ」はイタリア語で8日間。イタリアブランドの誇りとして、これからパネライは、イタリア語のモデル名にこだわっていくという。パネライお約束のサンドイッチダイヤルは、やはりビンテージ感のあるベージュシェード。マット仕上げのエイジド加工スティール、ゴールドカラーの時分針と相まって、なんとも上品に仕上がっている。

「ラジオミール トレ ジョルニ」。PAM01350。手巻き。径45㎜。SSケース。レザーストラップ。93万9400円。

お問い合わせ:パネライ公式サイト

文・構成/市塚忠義