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2026.06.01
アイコンを大切に育てつつ、オートオルロジュリーにアプローチ。さらなる飛躍のためのベル&ロスの戦略とは?
2025年はマニュファクチュール・ムーブメント搭載の「BR-X3」コレクションをデビューさせたほか、ブランドの柱のひとつである「BR-05」に小径トレンドにマッチする待望の36㎜モデルを投入するなど、ファン心理を押さえた製品展開で話題をさらい、セールス的にも大成功を収めたベル&ロス。次はどんな手を打ってくるのか、来日中のブランドキーマンに、展望をうかがった。

ファビアン・ドゥ・ノナンクール [Fabien De Nonancourt] ベル&ロスのジェネラル・マネージャー。1970年、フランス・ナンシー生まれ。タグ・ホイヤーで時計キャリアをスタートさせ、2010年にベル&ロスに移籍。ブランドの営業&販売戦略の要としてグローバル展開を強力に推進。
2026年もベル&ロスは、ブランドらしい個性を体現した新作を定期的に発表していく予定だ。ファビアン・ドゥ・ノナンクール氏は、新作PRのためにその実機やサンプルを持って世界中を飛び回っており、インタビューの前にまずはそれらの詳細な商品説明をしていただいた。
新作を見回して気づいたのが、すべてのモデルが「四角の中に丸」というデザインコードを守っていること。これは同ブランドのここ数年の傾向である。ベル&ロスはもう、かつての「ヴィンテージシリーズ」のようなラウンドケースのモデルを当入するつもりはないのだろうか。
「ラウンドケースの新作を発表することは、しばらくないでしょう。私たちは、航空計器からインスピレーションを得て誕生したスクエアケースを突き詰め、アイコンとしてもっと強力なものにしたいと考えています。ラウンドケースでいくら魅力的な新作を発表しても、競合とかちあってしまい、我々の優位性を表現できるか疑問が残る。せっかくスクエアケースという一目でベル&ロスとわかる武器を持っているのですから、その中で様々なチャレンジを行なっていくというのが、当面の戦略です」
その戦略は正しかったのだろう。スクエアケースに絞った展開をし始めてから、ベル&ロスはセールス的にも快進撃を続けている。とくに昨年デビューした「BR-X3」コレクションは現在世界中で非常に好調な売れ行きだ。こちらはベル&ロスの大看板「BR-03」の進化版として登場したもの。象徴的なスクエアケースを再解釈した外装には、すべてのモデルがマニュファクチュールムーブメントを搭載している。
「多くのファンがブランドのフラッグシップモデルであるBR-03にマニュファクチュールムーブメントが乗ることを待ち望んでいました。とはいえ単にBR-03のムーブメントを入れ替えただけでは、新しいファンまで獲得できない。それでアイコニックなスクエアケースはそのまま、外装デザインやディテールをアップテートした新コレクションとしてリリースしたのです」
以下では、今回ファビアン氏が紹介してくれた新作群の中で、とくに時計ビギンが注目する2型を、彼のコメントを交えながら紹介する。ベル&ロスは次にどこに向かおうとしているのか、感じ取っていただきたい。
機構を際立たせた、腕につけるモダンアート

「BR-X3 マイクロローター」 スクエアなミドルケースと完全に一体化したマイクロローター式のマニュファクチュールムーブメントを、デザインの主役に。まさに腕につけるモダンアートのようなルックスだ。アクセスしやすい価格も嬉しい。自動巻き。40×40㎜。厚さ9㎜。SSケース。アリゲーター調カーフストラップ。世界限定99本。326万7000円。
新作の「BR-X3 マイクロローター」は、2025年に発表され、これぞベル&ロス流のオートオルロジュリーとして話題となった「BR-X3 トゥールビヨン マイクロローター」の流れを継ぐモデルだ。トゥールビヨンは割愛されたが、ムーブメントそのものを主役とした透明感あるスタイルはそのまま踏襲する。
「搭載するのは、本作専用に開発されたマイロローター搭載のマニュファクチュールムーブメント。このBR-Cal.390は、スクエアのミドルケースと完全に一体化しており、それを上下のサファイアガラスでサンドイッチしています。つまりわずか3つのパーツで構成されているわけで、このミニマルな構造自体、ひとつの技術革新だと考えています」
デザインのハイライトは、香箱、テンプ、マイクロローターをトライアングル状に美しく配置したところだろう。縦と横方向にグリッド状に走らせた幾何学的な、ブリッジデザインとあいまって、モダンアートのような趣きもたたえている。

マイクロローターをはじめムーブメントの主要パーツを水平方向に配置することで、キャリバー自体の厚みを抑え、総厚をわずか9mmにとどめたのも本作の大きなポイント。結果、ムーブメントを直接腕に乗せているような軽快感があり、もちろんフィット感もとても高い。
「オートオルロジュリーの世界にステップインするにあたり、“ムーブメントをデザインに取り込むこと”を、クリエイティブディレクターのブルーノ・ベラミッシュは大前提に掲げています。同時に、“複雑機構だけがオートオルロジュリーを定義するわけではない”という強い信念も持っている。BR-X3 マイクロローターはそうした彼の考えを見事に体現したモデルと言えるでしょう」
BR-05の36mmケースにロマンチックな星空ダイヤルを追加

「BR-05 36㎜ ブルー ダイヤモンド イーグル」 繊細な煌めきを放つダークブルーのアベンチュリンダイヤルに、ワシ座をかたどってダイヤモンドをセット。ちなみにこれら実際の星の等級(明るさ)に合わせて大きさを変えているそうだ。ベル&ロスが高度なジャムセッティング技法を有することを改めて知らしめた特別な1本だ。ケースバックにもワシ座モチーフを刻印。自動巻き。36×36㎜。厚さ8.7㎜。SSケース&ブレスレット。73万7000円。
昨年のベル&ロスは、スクエアケースをモダンかつスタイリッシュに進化させた「BR-05」コレクションに、36mmサイズを追加した。こちらも小径時計のトレンドに乗りたい人たちの間で目下大ヒット中だ。
「じつは社内ではBR-03で小径時計を出すアイデアもあったのですが。23年にケースを42mmから41mmにマイナーチェンジしたばかりで、今はそのタイミングではないとの判断となりました。ケースがコンパクトになるとエレガントさが増すため、BR-03が備えるブロフェッショナル用のツールというイメージを損ねかねないとの声もあった。その点BR-05はもともと都会的で洗練されたデザインのため、まずはここで36mmを出したのです。この判断は成功だったと思います」
2026年は、人気沸騰中のBR-05の36mmモデルに、アベンチュリンダイヤルをセットした新作が登場した。星空のように煌めく深いブルーダイヤルの中で、ひときわリッチな輝きを放つ星々はダイヤモンド製。じつはこれらはワシ(イーグル)座をかたどっており、インデックスのダイヤモンドととともに、盤面をロマンチックかつ、ミステリアスに見せている。
「BR-05の36mmモデルのエレガントさを一層際立たせる新作であり、女性のユーザーに強くアピールするものと期待しています。もちろん男性の方がつけても素敵でしょう。ギリシャ神話におけるワシは、ゼウスの使いであり、天と人間をつなぐ存在として描かれています。空の世界から着想を得てウォッチメイキングを行う我々にふさわしいモチーフであり、これまたベル&ロスらしい1本だと自負しています」
スクエアケースというアイコニックなデザインを守りながら、機構、美観ともに大胆なチャレンジを続け、アートピースのような作品まで続々と手がけるベル&ロス。今後もそのクリエーションに目が離せない!
問い合わせ/ベル&ロス
ベル&ロス ブティック 銀座 TEL:03-6264-3989
ベル&ロス ブティック 大丸東京店 TEL:050-1781-4425
ベル&ロス ブティック 心斎橋 TEL:06-6786-8993
ベル&ロス ブティック 福岡 TEL:092-753-9993
※表示価格は税込み
文/吉田 巌(十万馬力)