2018.07.27

受け継ぐ時計「銀メダルから、9秒台、東京五輪へ/山縣亮太」

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“走るセイコー社員”が語る時計愛

2016年のリオデジャネイロオリンピック男子4×100mリレーで銀メダル獲得の偉業を成し遂げた日本チーム。その第一走、山縣亮太選手は、何と“走るセイコー社員”!
9秒台も視野に入れた進境著しいアスリートが、“受け継ぐ”に値する時計を語る。

Ryota Yamagata(山縣亮太)
1992年広島県出身。小学生時代から本格的に陸上競技に取り組み、修道中学、高校を通じて活躍。慶応義塾大学在学中の2012年、ロンドン五輪短距離日本代表に選出され、男子100mで準決勝進出、4×100mリレーで4位入賞。’15年4月セイコーホールディングス入社。’16年のリオデジャネイロ五輪では、男子100mで準決勝進出、4×100mリレーでは37秒60のアジア新記録で銀メダルに輝く。’17年9月24日の全日本実業団対抗陸上で10秒00の自己新記録をマーク。’18年シーズンも好調をキープしている。

 

銀メダル記念にGSを自分と家族に

ケンブリッジ飛鳥選手がフィニッシュラインを駆け抜けたとき、僕が見ていた位置からだと2着か3着か、よく分からなかったんです。そうしたら電光掲示板に「2位ジャパン」って出て、一瞬実感がなかったですけど、客観的に考えたら「すごいことをしたんじゃないか!」と驚く自分もいました。グラウンドを一周するときには、すごく興奮していましたね。この結果が出せたのは、まず選手全員がケガもなく、いい状態で決勝を迎えられたこと。それと、やっぱり攻めたバトンパスですね。

僕たちは、アンダーハンドとオーバーハンドのいいとこ取りをした、ハイブリッドと言われる方法を採用しているんですね。それから、無駄のない間隔でバトンパスができるように、前の走者が一定のラインまできた瞬間に、次の走者が走り出すように決めているんです。そのラインを足長(そくちょう)、つまり走者の足のサイズで何歩分か測るんです。僕から第二走の飯塚(翔太)さんに渡す際は、飯塚さんの足長で31・5歩のところに僕がきたら、飯塚さんがスタートする。オリンピックの決勝では、タイムを縮めるために、それをちょっと伸ばして31・75足、距離にして7㎝分長くしました。14㎝では、ちょっと怖いんです。ほんとに気持ち程度の長さですが、それによって攻めながらも不安なく臨めたのが大きかった。体力温存のため、決勝前にリハーサルはやっていませんが、合宿のときからいろんなバトンパスのパターンを練習していて、お互いのフィーリングで分かり合っていましたから。

銀メダルの記念に買ったのが、グランドセイコー(以下GS)の『62GS』現代デザインモデルです。GSは、いつか欲しいと思っていました。シンプルな中に輝きがあるデザインに加えて、日頃からタイムを意識して生活しているので、正確さという機能も含めて美しいと感じます。シルバーの文字盤を選んだのは、やはり銀メダルを彷彿させるからです。

オリンピック後、両親と兄にもGSをプレゼントしました。父親はすごく感動する人なので「これは使えん!」と言っていましたけどね。僕としては使って欲しいからあげたのに(笑)。

セイコーホールディングスに入社したのは、大学を卒業直後の’15年4月です。セイコーは世界陸上やセイコーゴールデングランプリ陸上など大きな陸上競技会で計時を行っているので目にする機会も多く、親しみのある会社でした。ちょうどセイコーが、スポーツ支援にもっと力を入れていこうという転換期だったこともあり、陸上競技を続けていける就職先として、こちらからもいいイメージを持っていたところに、ご縁を頂きました。

自分は競技者として、基礎は大事にしながら、一歩先の世界に入っていくために、自分自身のフィーリングや価値観を大事にしたいと思っています。例えばトレーニングにも、いろんな方法があって、正直どれが正解なのか分からない中で、自分が納得できるものを選んでいきたい。そういう取り組みを、理解し協力してもらっています。自分の色を常に考えながら100mを作り上げていきたい。そのスタンスと、独自性を重視するセイコーの価値観や、日本から世界にチャレンジする姿など、重なる部分を感じています。

「シルバー文字盤のGSは銀メダルを彷彿させます」

グランドセイコー
ヒストリカルコレクション
〝62GS〞限定モデル(現代デザイン)
SBGH037

銀メダル記念に購入したモデル。2015年にGS誕生55周年を記念し、1967年発売の名機『62GS』に現代的な解釈を加えたモデル。36000振動/時のハイビートキャリバー9S85を搭載。径40㎜のSSケース&ブレスレット。「改まった席や、スーツを着用する際に着けています」。

“攻め”のスタンスで9秒台、東京五輪を見据えて

振り返ると、セイコーとは幼少期から縁があったのかな、と思います。そもそも僕の誕生日は6月10日の時の記念日。これは、入社してから知ったんですが(笑)。子どもの頃に使っていた樽形の目覚まし時計に大きく“SEIKO”と入っていたのが記憶にあります。中学受験に合格したとき、おじいちゃんに買ってもらった初めての腕時計が、セイコー『ブライツ』。「お前には早過ぎる時計だけど、お祝いだから。サファイアガラスでキズがつかないんだぞ」なんて言われたのを覚えています。

趣味は釣り。社会人になってから始めた。
「料理好きが先で、おいしい魚を自分でさばいて食べたいから。リラックスできますが、集中し過ぎて疲れます(笑)」。

入社式のときには『アストロン』の第1世代を着けていきました。便利なので別のモデルも持っています。昨年には『ブライツ 山縣亮太限定モデル』を作ってもらっただけでなくブラックセラミックスケースのGSのスプリングドライブ・クロノグラフを買いました。革ベルトのモデルが欲しいというのがまずあったんですが、セイコー独自の技術であることや正確性も決め手でした。今までのGSよりも攻めてる印象で、カッコいいですね。自分も攻めのスタンスでいこうっていう、覚悟もありました。

昨年は9月に自己新の10秒00を出すことができました。出そうと思っても出せない記録なので、嬉しかったですね。実は、昨年の世界陸上で代表から漏れて、そこで改めてしっかり体づくりをやり直しました。体の必要な部分を大きくできて、実戦を重ねていく中で、技術的にもどんどんよくなっていき、それが形になった感じでした。自己新のときは、それまでの感覚と全然違っていたので、この延長線上に9秒台があると感じています。9秒台が出たら、記念の腕時計を買えるといいですね。節目節目で何か買いたいと思っていますし、それが自分にとってかけがえのないものになりますから。そういう意味のある時計は、将来子どもができて成長したときに、手渡すに値するものになるんでしょうね。

2020年の東京オリンピックも、絶対はずせないものとして意識しています。個人の100mでも決勝に残るのはもちろん、行けるところまで行きたい。2年後を見据えるというより、今を大事にしながら、確実にレベルアップしていきたいですね。ゴールドの時計を見て、モチベーションを高めておくのもアリかもしれません(笑)。

「自分の色を常に考えながら100mを作り上げていきたい」

グランドセイコー ブラックセラミックス
リミテッドコレクション SBGC015

昨年購入したスプリングドライブ クロノグラフ GMTモデル。ブラックセラミックスのケースが"攻めている" 印象。自身も"攻め"のスタンスを取るべく購入。その後、自己新記録を更新した縁起のいい1 本。「革ベルトで、スーツにも合わせやすい。GMT機能は、今後海外遠征の際に使ってみたいですね」。

セイコーアストロン エグゼクティブライン
SBXB123 GPSソーラーウオッチ

サファイア製のベゼルリングを採用し、グローバルビジネスマンを意識して誕生したモデル。「フルチタンケースで軽量だし、電池交換の必要もなく、正確でもある。アクティブなシーンでも使いますね」。趣味の釣りの際に着用することも多いとか。

 

[時計Begin 2018 SUMMERの記事を再構成]
写真/山下亮一  文/まつあみ 靖

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