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2022.10.11
横顔美人な腕時計【ザ・ファーストモデル ♯09 ルイ・ヴィトン「タンブール」】
伝説のクロノグラフが、いま蘇る
2002年、ルイ・ヴィトンが放った渾身の腕時計「ダンブール」。その時の強烈なインパクトは、今でも鮮明だ。『時計Begin』は、時計の専門誌であり、それまでラグジュアリーブランドの時計には、あまり触れる機会がなかった。突如現れた「タンブール」は、とにかく時計のケース形状が、ユニーク。「タンブール」とは、フランス語でドラムを意味する。この時計は真横から見ると、下に向かって裾が広くなっていく。すり鉢状にすぼまっていくタイプはよく見ていたが、その逆は、それまで見たことがなかった。
普通に考えれば、野暮ったくなりそうなものだ。「タンブール」が世間をあっと言わせたのは、その個性的なケースが、可愛らしくもあり、極めてエレガントであったからだ。「タンブール」はラグジュアリーブランドの腕時計として、『時計Begin』が初めて表紙に採用した腕時計である。表紙を飾ったタンブールの姿は、これもまた本誌初の「横姿」であった。
本誌がこれほどまでにタンブールに魅了されたのには、もう一つ理由がある。それは中身に搭載されていたムーブメントだ。タンブール第2弾のクロノグラフは、なんとゼニスの傑作クロノグラフ・キャリバー「エル・プリメロ」が搭載されていたのだ。今でこそ、こうしたコラボはよく見られるが、当時は中身の話、特にムーブメント事情を赤裸々に見せることは、避ける風潮があった。
「自社のキャリバーでなくても、良いものは良い」。ある種割り切ったルイ・ヴィトンの新しい戦略は、その後のラグジュアリーメゾンによる本格時計参入の指針となった。2022年は、タンブールの生誕20周年。ルイ・ヴィトンはこの節目の年に、特別な時計を用意した。エル・プリメロを搭載した当時と同じコンセプトのクロノグラフを、200本復刻したのだ。しかも、ほんの数分で完売してしまったとのこと。
伝説のクロノグラフは、20年の時を経ても、その威力は全く衰えていなかったようだ。タンブール20年分のアーカイブが気になるなら、ルイ・ヴィトン 渋谷メンズ店で開催中のエキシビションに足を運んでみてほしい。
問い合わせ:ルイ・ヴィトン クライアントサービス TEL 0120-00-1845
(文・構成/市塚忠義)
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