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2022.12.27
伝説のパイロットウォッチからオリスのシンボルモデルへ【ザ・ファーストモデル ♯13 オリス「ビッグクラウン ポインターデイト」】
機械式時計ファンなら知らないものはない大定番、オリス「ビッグクラウン ポインターデイト」。1938年に誕生し、パイロットウォッチの金字塔となったモデルだが、オリスがパイロットウォッチを製造したのは、このモデルが初めてというわけではない。1910年代初頭には、すでにオリスはパイロットのための時計を製造し、1917年には安全装置を備えた(2時位置のボタンを押さないと時刻調整ができない)腕時計を誕生させている。つまり、「ビッグクラウン ポインターデイト」の歴史だけ見ても、80年以上の歴史が詰まっているが、パイロットウォッチ製造の歴史としてみれば、1世紀以上の歴史を誇っているのである。
「ビッグクラウン ポインターデイト」最大の特徴は、上空3万フィートという極寒の機内で、パイロットがグローブを着けたままでも操作することができる大型のリューズだ。また、日付表示を「窓」ではなく、文字盤センターの専用針で指し示す「ポインターデイト」も、同モデルの代表的なスタイルとして定着している。
この2つのアイコンによって「ビッグクラウン ポインターデイト」はアメリカ空軍パイロットたちの必携品となるが、ミリタリーウォッチとして認められただけでなく、その後はオリスを支える大黒柱に成長していく。同作が1960年代まで順調に安定生産を続けた結果、同社は社員800人、年間生産数120万本というビッグブランド成長し、世界トップ10入りを果たしている。
1970年以降のクオーツショックの大打撃は、オリスにとっても例外ではなかったが、1980年代に入り、機械式時計復活の狼煙をあげるきっかけとなったのが「ビッグクラウン ポインターデイト」であった。その後、1980年代のうちに初の自動巻きキャリバー搭載モデルが誕生。同時にスモールセコンドはセンターセコンドに変更され現在の4針スタイルに。コインエッジ仕様の刻み入りベゼル、先端が三日月形で読み取りやすい日付針、コブラ形の時分針など、現行モデルに繋がる大半の要素がこの時に確立される。
2000年以降は、時代のニーズに合わせてケースが大型化され、風防がより耐久性の高いサファイアクリスタル風防に変更されるなどアップデートが図られたが、基本的なスタイルは変わっていない。「デザインは生まれては消えていくものですが、ビッグクラウン ポインターデイトは、消えるどころか更にパワーアップを続けて、オリスの歴史とブランドの力を象徴するものになりました」と、オリス名誉会長ロルフ・ポートマン博士が振り返るように、「ビッグクラウン ポインターデイト」は、今後も成長を続け、同社のアイコンモデルとして、時代を生き抜いていくのだろう。
問い合わせ:オリス・ジャパン
(構成・文/市塚忠義)
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